アウトソーシングの効率化とプロシージャル
Outsourcing efficiency and procedural
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ)
(Polygon Pictures Inc.)
本資料は「クラフツマンシップとアーティストのテクニック 20190928」での事前資料となります。モデレーターである2社がサーバーサイドでの開発主体へ移行していることから、モデレーター2社のサーバーサイドから見た感想中心の資料となっておりますので、どうかご留意頂きお読み頂けたらと思います。
■概要
■Overview
映像制作パイプラインの拡充や機能性の追求の主な目的の一つとして、多くのアーティストが介在する制作において避けがたいヒューマンエラーを防ぐという目的がよく言われていると思います。アウトソース先へ具体的な指示が的確に行え、伝わっていくほど、そのエラーは軽減されていく傾向にあると考えられており、ここ最近までの改善の多くは、そのような視点で検討され進められて来たようにも思われます。
しかし一方、各アーティストへの指示が細かく膨大な量へとなっていく傾向が強まって来た現在、可能であれば大半の作業は微調整というかたちで行えるようにと、そのセッティングをシステマティックに提供いくことを目指すような改善も最近では議論を激しくしているといえ、それは自動化推進に伴い浮上した大きな流れであるとも言えます。
この資料では、主にモデリングや幾つかの工程を主眼として、プロシージャル技術により各アーティストへの作業環境をその具体的なセッティングを終えたものとして提供していけないかに多少の考察を進めたいと思います。
会合までに多少これらの視点での可能性や問題点を考察頂き、会場ではじっくりディスカッションをして行ければと思います。
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■作業指示が精密度を高めていく傾向のなかで
■As work instructions tend to increase precision
モデリング時のメッシュの貼り合わせの状態を表す各種情報や、それに伴うUV座標などの配置の一貫性など、最近の制作では、モデリング時に形状の自由度を模索する作業を行う上で、かなりの精密作業を意識せざるを得ない、様々な作業上の制約事項が増えていっているように思います。
そのような指示の中には、もはや各アーティストへ機械的な作業を求めてしまう傾向もはらみつつあり、それらは創作性の意味で負担を伴うものと言え、映像制作パイプラインの上でこれらの課題への何らかの解消が求められていく傾向にあるのではないかと思います。
加えて、アウトソース先となる様々なスタジオの様々なアーティストさんとの、社内でのコミュニケーション性の高さに近い環境を構築していくことはなかなか難しく、社内での作業指示であってもニュアンスがうまく伝えられずに頻繁にスタッフ間で話し合うことも多いなか、アウトソース先にタスクを提示するにも、厳しい作業指示になってしまわないかなどの懸念なども増えているのではないかと思います。
作業指示が精緻なものとなるにつれ、手戻りややり直しなどが必要なタスクも、自然と増えてしまう傾向も否めないかと思われますし、その中でどのようにアウトソース先への作業指示を出していくなどの事柄も、昨今関わる全てのアーティストのモチベーションの維持の意味でも、重要な課題になって来ているのではないかと思われます。
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■ヒーローアセットへ費やせる時間を確保する上でも
■Even to secure time spent on hero assets
昨今のアニメ制作の多くでは、様々なかたちで、作業負担の少ないモブキャラの取り扱いなどへの模索も増えて来ていると思われる方は多いのではないかと思われます。群衆シミュレーションの有効活用や表現上の簡便さを追求した表現力の獲得などへのトライアルも増えていると思われる昨今、作業上節約出来た時間が増えていくほど、ヒーローアセットのプリプロや制作に費やせる時間は、確保していける実感を持っている方も増えていく傾向にあるのではないかとも思われます。限られた時間的なリソースの中で、アーティストとしていかにヒーローアセットへ注力していけるかなどは、モチベーションの意味でも重要と思われますし、一方で手は抜きたくない、可能な限り努力してどのアセットも作って行きたい、など、葛藤も抱えつつ作業も進んでいるようにも話題によく登ります。
プロシージャル技術の適用先として、ある程度集中して作業すべき作業以外の部分はシステマティックに終えていって欲しい、ここ最近までの話題の中ではそのような意見もかなりの頻度で出ていたことと思います。
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■作業指示を反映したプロシージャルとしてのアセット生成へのアプローチ
■An approach to asset generation as a procedure reflecting work instructions
メッシュのインデックスを維持しながら様々なバリエーションを展開したい、様々なキャラクターを模索していけるよう体型差や大まかなバランスに対しての微調整可能なメッシュを自動生成して欲しい、など、ここまでの会合及び会合に付随した様々なディスカッションでは、そのような意見が色々なかたちで出ておりました。
それらの多くは、自動生成するところまではおそらく徐々に出来ていく類の難度の課題であると思われますが、映像制作としてそれらをいかに映像制作パイプライン上に統合していくかなどは、個々のスタジオの文化を反映する意味でも、多様な実現方法が存在することと思われます。
今回の会合では、作業指示の複雑さを解消していくようなプロシージャル技術の可能性なども参加者の皆さんとじっくりディスカッションさせていただき、平行作業下での自動化に関しての、アプローチ上の糸口を探る良い機会へと進めたいと考えております。
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■モデリング以外の作業において
■In work other than modeling
ライティングテストや多くの作業はパターン化しつつ効率化を考えていけると思われますが、前述のモデリングでの考察と同様の課題は、それらの自動化にも自然と現れていくことと思われます。突き詰めて考えていく場合は、各アーティストのトライアルの自由度のみを残した自動化推進というアプローチであり、それらがベストのアプローチであるとまでは言わないまでも、現在の複雑な作業指示増加によるヒューマンエラー軽減という意味では、重要な視点ではないかと考えております。
少なくとも、ポリゴン・ピクチュアズにおける映像制作パイプライン上での改革のひとつの大きな課題がこれらの自動化であるのとは言え、会合ではポリゴン・ピクチュアズでのアプローチ上の模索などもお話しさせて頂き、作業指示の複雑さを解消していくようなプロシージャル技術の可能性や課題に関して、参加者の皆さんと話し合っていければと考えております。
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■まとめ
■Summary
作業指示の複雑さにより自然と生じるヒューマンエラーや、そのために生じる手戻りややり直しなどのタスク増加にともなうモチベーション逸失などの問題を避けて行きたいという考えから、プロシージャル技術の提供先としての複雑な作業指示を軽減する意味での可能性などに関しての、考えや現状理解に関してここでは触れさせて頂きました。
会合では、こういった説明は再度入念には行いませんが、前述の観点での問題提起などを行っていく予定ではおりますので、会合までの事前に考えの整理などを行っていただけたらと思います。
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