リファレンスの内製化
In-house production of reference
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
リファレンスの内製化の課題に関してこの資料では多少取りまとめて参りますが、書き始めた2021年の時点において、新型コロナウイルス拡散防止でのテレワーク・リモートワーク推進で見えて来た課題を、徐々にまとめているものとなっております。課題と思われる点をまとめつつ、各種会合で一定の現状理解を紹介しつつ、徐々にブラッシュアップをして参りたいと考えております。
この資料は、「クラフツマンシップとアーティストのテクニック特別編 20221001」では、モデレータ達の調べた範囲での現状認識として紹介する内容となります。このセミナー「A Film Production
Technique Seminar」のモデレータ達は法律などの専門家ではなく、あくまでも、映像制作パイプラインの今後に関して考えていくための資料としてまとめております。
そのため、完成度は決して高くありませんので、ご注意お願い致します。
■概要
■Overview
昨今、各種法律の改定や著作権事項の急速なグローバル視点での対応増加が複雑化しつつあると考えられます。意匠権、著作権、公衆送信権など、考慮しなければならない事柄も増えていく一方と考えております。
グローバルな動画配信が普及した現代では、世界各国で細かく変革の進む法律面での変化などを踏まえ、中長期利用前提で保管が行われる制作用のリファレンスのサーバー内管理体制などに関して、今からでも改善の目安に関して考えていく必要があるように考えております。映像制作やゲーム開発においての、サーバー内アセットの著作権などの取り扱いに関する報道も増え始めたことも手伝い、徐々にとは言え、リファレンスの内製化に関わる課題は、複雑かつ高度な課題として映像制作上の課題となって来ているように思われます。そしてこの課題は、解決へ対策を考える場合、中長期的な対策以外の方法がないのでは、と思われる印象があります。
社内で用いるリファレンスは、プリプロ工程の多くで必要となる重要なファクターとなります。旧来は図書ベースで社内で管理することで対応することが多かった一方、新型コロナウイルス拡散防止に伴う急速なリモート化推進の中、リファレンスの多くも、電子化し、サーバー内で格納していくことが求められていく状況となっており、課題の複雑さを招いてしまっていると思われます。
一方で、サーバー内で保管する写真の著作権許諾などのフェーズをどう考えていくかで思案し、立ち止まらざるを得ない状況が続いており、社会では、各種訴訟もグローバルな視点で報道されていくことも増え、一つの手段として、社内サーバーで管理運用していく資料を、内製化していくというアプローチが浮上して来た次第です。
この資料では、二社それぞれの取り組みを多少取りまとめていくことで、今後の対応への模索としていきたいと思います。
KSS2021.11.17 「映像制作においての制作用リファレンス」講演の記録
https://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/kobe_studio_seminar/talks_st.html.ja#20211117a
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■美術書・芸術書などの取り扱い
■Handling of art books, etc.
美術書・芸術書の中では、2021年現在、電子書籍として流通されていないものは少なくはないのではないかと考えております。特には、既に絶版になってしまった書籍や、美術館の展示会目録などの形で出版されたもの、そういったものも制作用のリファレンスとして参照していた方も多いのではないかとも考えております。社内図書として抱えて利用していける範囲に比べ、リモートワーク下でそれらを用いる際のハードルは高くなって来たと考えており、テレワーク・リモートワーク推進においては、これらは大きな課題を突きつける形になっているように思われます。
世界の様々な美術館などで、オンラインで閲覧可能としているリソースも増えてはいるかと思われます。しかし一方、絶版書なども抱え維持して来たスタジオ内図書に比べると、非常に限られてしまうのが現状です。そのため、アイデア模索性の高いプリプロ工程において、特に初期段階でスタッフ同士がイメージ共有を図り、対話を支えていく仕組み作りをテレワーク・リモートワーク前提で考えていく際には、著作権許諾や電子化、複数名での画像の閲覧を前提としたサーバー内閲覧を前提とした解決策の模索が、重要になっていくのではないかと2021年の段階では考えている次第となります。
一方で、現存する美術書・芸術書の電子版獲得以外の対策として、映像制作でのプリプロ時の対話性を支える、そのような何かを、例えばリファレンスの内製化として取り組んでいけないかと、模索を開始しております。
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■建築物・街並み、群衆
■Buildings, cityscapes, crowds
制作物で直接描かれることとなる光景を実写で撮影する場合は、フィルムカウンシルなどの各種窓口が存在し、ここまでも円滑に進んでいると思われます。また、撮影をスタッフ自身で行い保管するケースなども存在し、倫理面での配慮などを行いつつ、撮影し資料化するなどのプロセスも、比較的普及しているのではないかと思われます。しかし一方、建築書や観光地で配布・販売されている冊子などの多くは、許諾なくサーバー内に置き大勢で閲覧するのは厳しいのではないかと考えられます。撮影時に自然と写り込んでしまった人物などの絵はどうするかなど、様々な観点での課題がテレワーク・リモートワーク前提でのシステム・サーバー設計では課題となっていくかと思われますが、建築物の意匠権の法改正での影響などもあり、建築物の外観デザインや内装デザインへの意識を持って、プリプロサーバの管理・運用体制の見直しも重要な課題となって来たように考えております。
建築物、内装の意匠が初めて意匠登録されました
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201102003/20201102003.html
令和元年意匠法改正特設サイト
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/isyou_kaisei_2019.html
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■料理や家具、衣服などの写真
■About WebAssembly
著作者以外もインターネット上で閲覧可能な形態で、綺麗に撮影された料理の写真が数多く、レシピサイトや個人ブログなどの形態で紹介されていることと思われます。一方で、それらの写真を社内サーバーに置くことは難しく、許諾を得るなどのアクションが多くの場合に必要になって参ります。それらを怠れば、場合によっては著作者からのアクションもスタジオに届くこととなるでしょうし、映像制作スタジオとしての信頼を揺るがす程度の展開も、往々にしてあり得るのかもしれません。販売商品のリバースエンジニアリングなどの防止なども交え、昨今のECサイトでの利用規約も高度化進めていく傾向も高まっており、non-fungible
token (NFT)などの発展次第では、今以上にデリケートな対応を求められていくと考えております。
そこに加えて、家具などの意匠権などの存在もあり、一つ一つの写真をサーバーに置く前に精査していくフェーズも必要になって来たと考えられます。ほとんどの場合は、社内サーバー保管が難しいのではないかと、そのように思うこともしばしばとなっております。中長期的に様々な作品を制作する上でのリファレンスを社内サーバー内で構築していくことを考えていく場合は、衣服も含め、撮影者が社内のスタッフであっても意匠権はどうなのかと考えざるを得ないと、現段階では考えております。
社内図書を見つつ、絵で描く・CGで描く対象の意匠を考えていくことをテレワーク・リモートワークで実現するには、非常に多くの課題が、そこに存在するのではないかと考え始めております。
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■機械学習・深層学習などの学習時データ
■Learning data such as machine learning and deep learning
AI方面は映像制作以外でも話題になっているかと思われますので、ここでは詳細に触れませんが、一定の学習を経て動作する仕組みとして社内サービスや制作支援の仕組みなどを構築していくにあたって、学習させたモデルを再現可能な程度に元データを保管していく必要は、徐々に顕著となっていくのではないかと考えております。
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■学術書・技術書なとの取り扱い
■Handling as academic books and technical books
CGなど幾つかの分野においては、まだ数は少ないながらもウェブから閲覧可能となった書籍も増えているのが2021年の段階と考えております。全てではないですが、教育・研究でスタンダードな書籍となっている数書が閲覧可能となったことで、スタッフや関係者で共有可能な知識の範囲が、少しは増えていく傾向にあるとも考えております。これらの書籍は、閲覧可能だからと言って蕃人が理解するには難度も高いことが多いことと思われますが、社内での自主学習推進を検討する上でも参照可能となった書籍が増えていることは重要で、今後の様々な推進に影響していくのではないかと考えております。
一方、映像制作はアーティスト・研究開発・技術開発など様々なスタッフが関わり進んでいくこととなりますが、基本的な用語の整理や基礎知識の取りまとめをスタジオ目線で行いつつ、サーバー内保管をしていくことにより、スタッフの知識獲得へのきっかけを生み出していく、そのような方向での推進も考えられると思います。
制作上のスキルと研究開発上のスキルの双方を意識しつつ、専門書へのガイドブック的なリソースの内製化を進められる場合、プリプロ工程では特に有用となる、そのようなリソースへと発展していけるのではないかと考えております。
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■メディアミックス前提でのリファレンスの取り扱いの難しさ
■Difficulty in handling references on the premise of media mix
コミックを原作にしてアニメ化される案件も多く、社内図書としてコミックを配備し制作に役立てるなどの対応は旧来から続くものの、電子化された書籍をリファレンスとして用いるには、まだまだ難度があるように考えております。2022年の段階では、電子書籍はサービスの多くが各社仕様を反映し複雑なものとなっており、例えばあるページのある絵だけに関心を持って他のスタッフに語るといった、そういう気軽さな利用がなかなか難しくなる印象があります。しかしながら、コミック特有の表現、あるいはコミックで発展した表現手法をアニメなどの表現に取り入れていくなど、各媒体で個別に発展した制作手法やアイデアの取り入れは、コミック・カートゥーン共に重要性を高めているのではないかと思われます。
そこでは、表現手法の違い、ストーリーテリング上の工夫の違い、コマ割りや間の取り方などの視聴形態を反映した違いなども含めて、媒体固有な部分と媒体固有でない部分に分けての表現方法の考察を行っていく場合は、制作リファレンスの在り方などを試行錯誤しつつ工夫していくことが重要ではないかと思われます。
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■映像表現と制作用リファレンス
■Film expression and production reference
映像表現は、様々な媒体での表現を映像上で扱う珍しい媒体での表現と考えられます。例えば、撮影した映像や(スタイライズを含む)CGでの表現として扱う映像に、家具・衣服・建築物・雑貨などが含まれるのは自然で、撮影されるもの・描かれるものの意匠への理解が欠かせないのではないかと考えられます。ましてや、制作時のプリプロ工程では様々なスタイライズなどを検討し、その表現手法のプロシージャルアセット化などを計画していくこととなり、検討時には、膨大な資料を参考にして練り上げていくこともしばしばです。原作あっての制作の場合は、多少はその検討も負担の少ないものとなっていくものの、スタッフ同士の確かなイメージ共有などを行っていく場合は、社内での制作リファレンスの構築は重要なこととなるかと思われます。
モデレーター達の知識では、インターネット上に存在する(社外のサーバー内の)様々な画像をそのままに適切に制作に組み入れるのは難しいように感じております。しかしながら、では全てを社内でリファレンスをスクラッチから作ることは難しくとも、中長期に渡って、複数の作品制作へと役立てていく前提での制作用リファレンスの構築は、テレワーク・リモートワーク推進を行う上での、大きな課題となるように考えております。
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■まとめ
■Summary
本セミナー「A Film Production Technique
Seminar」のモデレータ達は法律などの専門家ではないため、これらの話題をセミナーで扱うことは避けたいものとして今まで考えておりました。しかし一方、日々報道でみられるような情報を見るうちに、テレワーク・リモートワーク推進を行う上でも避けがたい課題である、という考えに至りました。
この資料では、資料をまとめるうえでの十分な知見が確保出来ないまま、現状認識を記載するかたちに留めましたが、「クラフツマンシップとアーティストのテクニック特別編
20221001」の会場で、参加者のみなさまと多少とも充実したディスカッションが出来ればと考えております。
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