スタッフとしてのトライアル、スタジオとしてのトライアル
Trial as a staff, trial as a studio
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
2020年から猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響や、度重なる緊急事態宣言での対応に追われ、本資料の公開が遅れましたこと、参加頂いた皆様に深くお詫び申し上げます。
この資料は、2020年7月に初期版を公開し、以降、随時更新して行く前提のページとなります。
資料自体は、加筆の順序を極力意識し掲載して参りたいと思いますが、修正などを徐々に行うことで資料としての質向上を目指して行きたいと思います。
基本的には、過去の「映像制作パイプラインとアーティストのテクニック」「クラフツマンシップとアーティストのテクニック」で再三話題に出ておりました各自のトライアルという側面に関して、多少無理がある展開も可能性として考えつつ、今後のセミナーでの議題に向けて、書き留めて参りたいと思います。そのため、他の関連資料に比べましても、稚拙で検討不足の事柄も多いかと思います。読まれる際には、重々注意してお読み頂ければと思います。
■概要
■Overview
過去の「映像制作パイプラインとアーティストのテクニック」「クラフツマンシップとアーティストのテクニック」で再三話題に出ていた話題としまして、「スタッフとしてのトライアル、スタジオとしてのトライアル」といった様々な立場でのトライアルという課題がありました。請負い形態で進めるスタジオなどの場合、期限や予算、時間面での確保の難しさなど、様々な制約が自然と生じる傾向があります。しかし一方で、スタジオとしての文化を形成していくことが未来のスタジオとしてのパフォーマンスに繋がる側面もあり、難しいからと言って目を背けていくわけにも行かない課題とも言えます。
葛藤を経て、どのような体制で進めていくかなどは、各スタジオでの個別の判断基準で進むことも多いでしょう。そこでここでは一度、会合中に参加者からの発言やモデレーター達が考えた課題、考えて行かなければならないであろう問題意識に関して、トピック別にまとめていく努力で書き進めたいと思います。
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■時間的な制約
■Time constraints
開発と言われる多くの分野と同様かもしれませんが、人月換算で予算を見積もり、クライアントに打診を行い、ゴーサインが出た段階から取り組むことになっていくのは映像制作スタジオだけでない背景事情かもしれません。研究費、研究開発費も含め、限られた時間で結果を出すことを求められる状況下で、時間をどのように確保し、重要と思われる課題に対してトライアルを行うかといった形で、プリプロ工程の多くが進むことになります。
一方、過去会合で何度も話題に出たスタッフとしてのトライアルは、非常にスタッフ個人の感性に依拠するトライアルとして議題にのぼっておりました。それは人月換算で予算や時間を考えて行きやすいスタジオとしてのトライアルとは異なり、日常的なトライアルや毎日のトライアル、といった、そのような側面でのトライアル環境や体制整備に関するものであったかと考えられます。
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■スタジオとしてのトライアル
■Trial as a studio
このショットは数回までのリテイクまでは許容可能、このショットは30分を目安にこの処理を行うこと。そういったガイドラインがあるからこそ、大規模映像制作が回って来たと考える方は多いのではないかと思われます。一方、スタッフとしてのトライアルは、時間的な制約での打ち切りで止まった場合、スタッフのモチベーション逸失や、長期に渡ってスタジオで働いていく上での活気逸失に繋がりかねない側面があります。
スタジオとしてのトライアルにスタッフとしてトライする、この点に関しましては、人月換算など、従来通りでうまく回っている印象を持つことは多いかとは思います。
しかしながら、スタッフとして非常に個人的なトライアルを進めていて、そこからスタジオのトライアルに役立っていくケースは重要ですし、業務時間の20%をスタッフ自身のトライアルに対して自由に設定可能とする企業も知られているように、スタジオとしても考えていかなければならない課題となっているように思われます。
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■打ち切りがあり得るトライアル
■Trial with possible censoring
制作上の制約ゆえに打ち切りがあり得るトライアルとして、スタジオとしてのトライアルはプリプロ工程にうまく取り入れて来たスタジオは多いのではないかと思います。スタッフの自由なトライアルが長期的に見てスタジオとして重要と考えていく場合は、打ち切りやプロジェクト型でのトライアルはあまりうまくフィットしていかない側面もあるかと思います。
そのため多くの組織や企業では、予算などを低く設定しつつも、定常的に支えていける形態の中でスタッフ自身のトライアルを奨励する、そのような傾向があるのではないかと思われます。
ホームユース用のライセンス確保しかり、業務システムを用いての自主学習可能な組織運営しかり、設備面での自由度確保を通して、完全ではないものの、打ち切りリスクを避けた形態でのトライアル環境や体制整備は、各スタジオで常日頃から取り組まれて来たのではないかと思われます。
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■日常的に用いていける業務設備やトライアル環境
■Business equipment and trial environment that can be used on a daily basis
ペンと紙で描き始めて行き、可能であればそこで全てのトライアルが完結する、このような理想に近い条件は、理論面での研究層では比較的手に入りやすいという意見も過去会合では出ておりました。しかし一方では、設備環境がそうであっても他業務や社会の変化でそもそもトライアルの時間確保が難しくなることもあると意見が出ていた事から、理想に近い条件に見えても難しくなる場合もある、そのような部分もあるのではないかと思われました。それでも、日常的に扱える設備の中でトライアルが完結していく方向を模索していくことは、スタッフ自身の継続的トライアル環境や設備について考えていく上で重要です。
そのため、社内申請で予算確保し特殊な機材を用いてトライアル可能とする方向での模索よりは、社内申請や調整がなくとも取り組める、そのような環境の模索が重要なのではないかと思われます。研究費申請などを通して予算配分を行い、設備を構築しそこから取り組むような形態では、スタジオとしてのトライアルが出来ても、スタッフ自身のトライアルを継続し行っていける形態では、なかなか難しいように追われます。
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■スタジオとしての統制が必要になってしまう範囲
■The range that requires control as a studio
スタッフの日常的なトライアルを環境や設備として提供出来たとしても、スタジオに所属している限りにおいては、スタジオとしての管理をしていく必要性を生じることと思います。ここにスタッフとしての自由なトライアルをオーサリングしていく難しさがあるようにも思われます。管理することはスタジオとしての意思の範囲でしかスタッフの自由なトライアルが出来ない部分を生じ、トラブルが起きた場合への事前対象など、スタジオ側で対応出来た範囲でのトライアルとなっていく傾向は自然と出てしまうかと思われます。
開発に関わるスタッフの場合は、OSSの開発などに参加したり、スタジオとして厳しくは管理していない場で自由なトライアルを目指す方も多いかと思います。OSS開発でも全くの自由とは言えないものの、スタジオ内でのプロジェクトでのトライアルよりは、比較的スタジオとしての統制を気にせず、トライアルを重ねて行きやすい傾向にあるようにも思われます。
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■スタッフ自身の意識として
■As the staff's own consciousness
スタジオ側に予算や時間、設備を要求する形でのトライアルをスタッフ側で求めていく場合、スタジオとしての統制や、予算や時間などの側面での打ち切りが生じてしまいがちになることを、まずはスタジオ側がスタッフ側に説明していくことが求められるのではないかと思われます。その理解の元で、スタッフ自身が自由にトライアル出来る環境に関して、スタジオ側とスタッフ側で話し合いつつ考えて続けていかなければそのような環境構築以前の模索も進まないのではないかと思われます。実際には、そのような模索さえ難しいこともスタジオによってはあるかと思いますし、模索しても解決しない課題となることもあるかと思われます。
しかしながら、「スタッフとしてのトライアル、スタジオとしてのトライアル」といった題材が一体どのようなものなのか、この資料で記載していたような議論を通して、理解していくことでしか進まないように思われます。
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■まとめ
■Summary
この資料では、「スタッフとしてのトライアル、スタジオとしてのトライアル」に対して、多少でも双方のバランスを考えていく上での大まかな流れをまとめようと目指してみました。
この資料の執筆そのものがモデレーター達のトライアルでもあるのですが、より良いセミナー形態の模索や、より良いトライアル環境や体制の構築、より良いムードでのスタッフ自身のトライアルを、考えていく上でのきっかけになればとモデレーター達は考えて取りまとめました。
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