自動レポート生成の構成上のポイント
Configuration point of automatic report generation
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
本資料は会合後にディスカッションされた内容を踏まえ記載しています。今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
海外案件でのクライアントからのアセスメントなどの経験から得られた、自動レポート生成などの仕組みに関する各社共通と思われるアプローチに関して簡単に説明したいと思います。
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■自動レポート生成の意義
■Significance of automatic report generation
海外案件などの映像制作において、一般的にアセスメント時での回答や制作過程での生産性や性能など、ある程度形式化されたかたちでそれをレポートしていく必要があります。
それらは体感速度といった感覚的なレポートや、ひとが個別に計測した速度やレポートなどは、クライアントからのアセスメント時にはそのデータの正確性や根拠に欠ける点もあり、利用していけない傾向が強くあります。そこでシステムとして速度測定や処理性能などのレポート生成の仕組みを、各社のパイプラインやインフラ上に構築していく必要があります。これらはシステムやミドルウェアなどから出力された単純なログをレポートするということでは不十分であり、映像制作スタジオとしての性能をクライアントに正しく迅速に説明していくことが求められていく行為と考えられます。
制作の規模が大きくなるに従って、パイプラインが複雑化しインフラの規模も大きくなってくると、データの収集や集計などを手動で行うことが困難となり、システム化され自動的にレポートが作成されるような仕組みがないと、レポートの作成自体が困難になったり、レポートの作成に多大な時間を費やしてしまうことも予想されます。
一方、ログデータやメタデータといった、レポートの元となるデータの出力も不可欠で、これらはどのようなデータが必要になり、それをどうトラッキングするかなど、パイプライン設計時にインフラにあわせてケアしていく必要もあります。
これらはクライアントへのレポートとしての役割だけでなく、E&O保険など制作時に入ることが求められる各種保険に加入する上でも、システムとしてのレポート生成が重要なポイントとなって行きます。
また、パイプラインの性能をトラッキングするうえで、自社内でも有効的に活用し、スタジオ全体としての性能向上に役立てていくと良いのかもしれません。
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■自動レポート生成の対象など
■Target of automatic report generation
プロダクションでは、アーティストが1日に作業する量を定量化し、その生産性をパラメータとして定義してトラッキングしていく必要があります。例えば、1日に何秒のアニメーションを作成するか、1日に何ショットのレンダリングをおこなうか、リテイクの回数は何回程度で目標の品質を達成するか、といった指標を計画しそれをトラッキングしていきます。
それらを各工程ごとなどに制作速度やその変化の統計的レポート、計算クラスターのハードウェアの性能と実際の稼働時の性能レポート、さらにはトラブルが起きた際の復旧マニュアルとそれに準じて復旧を試みた際の目安としての必要な時間、新機能開発に割ける人員とそこに関わる開発上の実績がわかるようなデータ、論文などのアルゴリズムを開発する際はその責任者の普段の研究などの詳細及びキャリア、インフラ内での権限とアクセス数の変化などの統計的資料とストレージ性能の理論値と実測値、などなど、クライアントのアセスメントに応じて提示出来るように、パイプラインシステムと連動して、普段の状態からログを取得していくかたちで対応を進めていくことが多いと思われます。
このように単にインフラそのもののパフォーマンスだけに留まらず、パイプラインシステムとしての性能やアーティストの生産性、技術開発の進捗と成果に至るまで、多様な対象を可能な限り数値化を行いまとまったかたちでレポートを生成していく必要があります。
尚、これらはあくまでも請負い型での制作や、自社からのアウトソーシングなどを考えていく場合にのみ必要なものが多々あります。社内でのみの制作の場合は状況が大きく異なりますのでご留意下さい。
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■自動レポートシステムの管理
■Management of automatic reporting system
レポートを生成していく仕組みやシステムに不具合があったり、または性能データに恣意的な変更が加えられるようなことは、あってはならないことであり、正しい情報からレポートが生成されていることを担保する必要があります。またログデータの保存期間やそのデータにアクセス可能な権限の範囲、システム変更に関する記録と承認といったプロセスなどが正しく運用されていることが前提となり、システムとしてIT統制がなされている必要があります。
このような観点は一般的なITコンプライアンスと考えかたはほぼ同じで、映像業界以外の他分野でも基本的に実施されている内容だと思います。しかしながら国内での制作ではアセスメントやレポートといった行為が、まだまだ一般化されていないケースもあり、各分野の各企業のコンプライアンス面での対応状況を知りつつ、少しでも改善を行う方針で進めています。
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■自動レポート生成の範囲の広がり
■Widen the range of automatic report generation
最近の働き方改革により、スタッフごとに異なる時間帯、業務内容、要求されるスキルの違いなど、スタッフの人事考課を含む働く環境が多様化の一途をたどっています。基準を設けてレポートにするという広い意味での自動レポートと考えれば、単にアーティストの生産性を図るという意味以上に、アーティストの向き不向きなどを考慮してのタスクアサインメントなどのマネジメントや、チーム編成への指標となる各種データの統計や解析結果生成など、今後の自動レポートの適用範囲は広がっていくと思われます。
ヒューマンエラーが避けられない今までのレポートなどと違ったかたちで、今度は自動レポート生成時のアルゴリズムの違いによりレポートから得られる結論が変わっていく可能性などもありますが、双方をどのように組み合わせて今後の業務改善に繋げていくかなどは、各スタジオによって工夫を行っていく展開になるのかもしれません。
プロジェクトの進捗管理を進めながらの自動レポート生成機能など、プロジェクトに役立つと思われるインフラ上でのサービス展開など、CG特有のプロダクション向けのサービス構築という視点で見れば、今後ますます自動レポート生成の対象は広がっていくものと思われますし、技術文書としての保管方法の模索なども含めて、これらの課題は今後インフラへ多岐にわたって変化をもたらすように考えています。
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