社内で進める脱標準化
De-standardization to advance within the studio
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
本資料は会合後にディスカッションされた内容をふまえ記載しています。他の会合の状況を踏まえ、多少ブラッシュアップを行っていく予定です。
■概要
■Overview
研究開発セクションでは顕著になりつつある変化として、IT全般という広い視点での新技術導入や、トライアル、研究開発時の資料共有やそれを支える自社に合ったインフラ構築への取り組みなど、「標準化」というキーワードを離れて、各社が各社の個性を伸ばせるような研究開発環境とその実践的利用を支えるインフラ構築を、力強く徐々に進めている現状が今回の会合では浮き彫りになって来たように思いました。
この資料では、「脱標準化」をキーワードに、各社の動向から見えた特徴的な変化に関してまとめて行きたいと思います。
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■UI面での改革
■Reform in the UI
近年普及したPySideや商用DCCのUI開発での様々な取り組みは、USDなどの展開に非常にスムーズに推進されていく傾向にあり、そのため、比較的開発のリソース投入先を変え始めて来たように思れます。今回の会合でも、RPC(Remote Procedure Call)やサーバサイドでの様々な技術への導入を進めている現状があり、今までUI開発の主戦場であったQt系の枠組み以外の枠組みでの開発が、比較的顕著になって来たように思われました。
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■計算クラスターの利用範囲
■Usage range of compute cluster
今まで映像制作の多くでは、計算クラスタの利用形態となると主にレンダリング用途が多かったように思われます。今回の会合では、houdiniなど商用DCCの効果的な分散計算などの事例や、内製エンジンとしてレンダリング、シミュレーション、大規模なプロシージャルモデリング、などなど、分散目的での計算クラスタ利用範囲の広がりが、かなり顕著になって来たように思われました。
また、ロードバランサーなどの通信時の負荷分散などの枠組みとの融合の模索といった講演も会合時の議論を活性化させていましたが、マイクロサービス化した各種サービスを映像制作やゲーム開発にどのように取り入れていくか、映像系特有の他業界でもなかなか見られない膨大なマイクロジョブの計算クラスタへの分散を支えるスケジューラやそのマネジメントなどの課題へのディスカッションなど、効果的な計算クラスター設計の上での要件に関するディスカッションも多かったように思いました。
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■ノードベースエディタの進展
■Progress of node-based editor
Houdiniなどプロシージャルな商用DCCに限らず、OSSと商用のソフトウェアの双方で、ノードベースのエディタの利用は多くなってきていると思います。しかしながら、後方互換性が担保されにくい実態もあり、そのメンテナンスやバージョン変更に伴うノードの組み立て直しなど、運用面での課題に関しても時間をかけて話し合われました。
ノードベースエディタでビジュアルプログラミング的に実装されたこれらの機能の適用範囲も複雑化していくなかで、映像制作やゲーム開発の現場のワークフローに合った構築体制や管理体制に関するディスカッションも数多く行われ、特にはプロシージャルモデリングのようにアーティスト側へのインタラクティブな機能提供を前提に、そのプロシージャの効果的なアーティスト間での共有やリビジョン管理などが大きな課題として浮かび上がって来た会合となりました。
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■汎用IT技術の浸透
■Penetration of general-purpose IT technology
「脱標準化」を進める際、フルスクラッチで全ての機能を開発しづらい、または、フルスクラッチで開発する前にとりあえず感じを見ていきたいなどの理由で、gRPCやJupyterなど、今までCG分野で扱って来なかったソリューション導入がかなり顕著になって来ていたように思われます。
IoT的な技術の導入やITインフラの最新技術の導入という形態でこれらの変革を進めていくことで、CG以外の領域を含めた世界でのIT技術の変化をパイプライン構築でも自然に受け入れ始めた、そのように考えられた会合でした。
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■世界で進む標準化、社内で進める脱標準化
■Standardization going forward in the world, de-standardization progressing in-house
バランスの良い研究開発体制を構築していくなかで、自然と世界標準の技術に常に意識を払い、その上で自社特有の内製機能の拡充を検討していくアプローチは、今後も重要なアプローチとして意識されていくように思われました。とはいえ、全ての場合に汎用技術をそのまま用いていけることがあるとは言えないため、研究開発を行う人間に求められるスキルとして、IEEE、ACMといった各種アウトプットへアンテナを張りつつ、新しいIT技術への強い関心の維持をもって、新しく登場して来た各種技術のエッセンスを自社に合うように取り入れ構築し運用していく、そのようなスキルを今まで以上に必要としていくのではないか、そのように会合中のディスカッションからは考えられました。
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■様々なスマートサービス
■Various smart services
AIなどの社会での普及によりスマート化は様々な形で身近になって来たと思われます。今回の会合でも、単純なものでもスマート化を進めている事例や、今後スマートサービスとして展開してけそうな余地など、発展性がありそうな様々な展開がいくつか見られました、映像制作やゲーム開発以外の分野での変化も、今後この会合シリーズでは特集していくべきに思われましたし、CGの範囲に閉じない展開が今後重要になっていきそうにも思われました。
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