人材獲得の難しさと研究開発の難しさ
Difficulty of human resources and research and development
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
本資料は会合後にディスカッションされた内容をふまえ記載しています。今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
会合中、インフラを含む様々な人材の獲得の難しさが議題に登りました。特にパイプラインやインフラでは、近年求められるインフラ系エンジニアへの要求スキルが高度化しており、その上で映像制作やゲーム開発に深い知識が必要になる側面から人材の獲得、研究開発面が難しさが生じていることが再認識されました。
特に成熟したパイプラインとインフラを抱える企業ほど、他企業と違った形で発展し、そこに要求されるスキルも業界標準と離れた部分が増え、かつ、インフラとしてアーティストの自由を抱えていくための下支え的な仕事を好む人材が希少ということもあり、業界の構造に即した人材獲得の難しさが浮かび上がった気がしました。
インフラ系エンジニアリングの可能な参加者からも、転職スパンも短く短期での関わりになっている現状に関する指摘もあり、中長期的な発展を目指す企業ほど継続的な人材獲得の難しさを痛感している現状も浮かび上がってきました。
一方、これらの事情は自然と研究開発にも影響して来る部分でもあり、企業ごとに必要な研究開発が異なるという事は、共通基盤的な研究の設定が難しく、様々なソリューションが世にあるものの、各社異なる技術開発をしていくことが避けられないことと言える要因がそこに浮かび上がって来ました。
また企業単位で異なるパイプラインやインフラを構築し差別化を図る傾向は、エンジニアとしての汎用的なスキルの習熟の難しさを時間的にも難しくするという指摘もありました。
スキルを活かす先が雑多になりがちで、一般のインフラ技術をユーザーとして短期で使い別の技術に移行して行く傾向も強く、参加者の意見からも、それらをその都度楽しみつつ挑戦をして行く心意気の大事さを今回の会合で理解できましたが、専門性の高いスキルの成熟というよりは、雑学的なスキルが身に付きやすい事実も分野上避けがたい側面であると認識されました。
また、今後のクラウドインフラの利用を踏まえると、下記のように考察することも出来るように思われました。
短期利用かつディスポーサブルなインフラは業界事情に非常にフィットしており、短い期間で様々なインフラ技術を扱って行くワークバランス、メンテナンスの大変なインフラをクラウド内で一時利用して行くバランスなど、制作に合った形式で自由に各社が用いていける有用性がそこにあります。
近年商用クラウドサービスのソリューションは充実しており、クラウドインフラを導入する技術的ハードルは下がってきている傾向にあり、単に利用するだけであれば少ない作業手順でソフトウェア的にインフラを構築することが可能です。
しかしながら、これらの展開は自然と、インフラの低レベルな技術への深い理解をする機会なく用いて行くことが多い展開になりやすく、人材育成や技術向上にとって、長期的にクラウド利用が果たして適切かどうかという見方も、今回の会合時の意見に即して言えば、考えていくべきなのではとも思われます。
クラウドインフラを今後どのように用いていくかは各社それぞれで考えていくことにはなるのですが、利点も多く、働き方改革の一環での遠隔地からアクセスしての制作や、多くの利点もクラウド利用にはあることは確かで、人材育成やスタッフのスキルアップなどとの関係を見据え、トレードオフのポイントの見定めこそが、難度のひとつになっていくのかもしれません。
インフラ技術のエンジニアのモチベーション獲得などの問題もありますが、現代のインフラ技術の高度化から考えて、今後この問題は時間をかけて考えて行く課題に思えました。
インフラ技術は開発にも運用にもコストが大きくかかるセンシティブな側面があり、各社での開発計画策定や運用の停止基準の策定など、高度化するインフラ技術にあった意思決定モデルが今後の鍵になりそうに思いました。
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