コンテンツのイメージと情報発信の難しさ
The difficulty of image of content and offer information
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
本資料は会合後にディスカッションされた内容を踏まえ記載しています。今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
制作請負い型でプロダクションを進めていく場合、クライアントのイメージやそこで制作する商品としての作品イメージを損なわないように制作作業を進め行くことが大切だと思われます。
しかしながら昨今、情報発信の多様化にともない、セキュリティや関係者の情報発信に関連するトラブルなどが、映像業界に限らず広く問題となっていることは普段から目にすることとなっています。
今回の会合では、特に海外からの請負案件時に要求されることの多い、商品イメージへの影響を考慮した情報発信に関してディスカッションも多少行いました。事後的ではあるものの、映像制作のワークフロー全体を通して、考慮していく内容もここでまとめて行きたいと思います。
日本で一般的な製作委員会方式とは異なり、デットファイナンスで制作されることの多い海外の大型案件では、制作にあたり投資とリスクというものが大きく存在して制作が進められてくことが多いと思われます。制作スタジオのセキュリティ的な問題や、制作に関わるスタッフの情報発信などにより、制作中の内容が漏洩したことでのトラブルも近年ではニュースとして取り上げられることもあるかと思います。
なかには制作中のシナリオの流出などのトラブルも存在しましたが、情報発信が多様化している現代では、これらの問題は映像業界だけでなく様々な分野で課題となってきていると日々感じられます。
受託制作を行う映像制作スタジオは、クライアントの商品イメージを損なわない配慮が必要となりますが、大型案件の映像制作のパイプラインのうえでは、工程が細分化されたなかでのレビューシステムの仕組みなどにより、各工程のスタッフは自身が関わる工程の情報へのアクセスが中心となるなかで、スタッフ誰もが商品イメージを俯瞰的に把握するのは難しいワークフローとなっていると想像できます。そういった環境において、スタッフの誰もが商品イメージ全体をケアした情報の発信をしていくことは非常に難しく、商品イメージに影響ある発言を行う際には、クライアントへの配慮や確認を丁寧に行う必要もあると考えられます。強いて言えば、どの発言がどのように商品イメージへ影響するかはスタッフでは把握しきれない側面が強いため、この点を考慮した運営体制の確立がプロダクション側で必要になって行くとも言えます。
また映像制作パイプラインをインフラとして設計していく過程において、これらのチェック体制やスタッフの情報発信のケアのための仕組みづくりは、非常に設計が難しく課題も多くあるように思われます。現状は各スタッフのモラルによって成立している部分も多いかと思いますが、そのような環境下でもクライアントに対して商品イメージに影響がある情報発信への管理を行っていく必要があり、理想的にはこれらの点がインフラ設計時に考慮されていることが望ましいと思います。
多くの場合、情報発信を広報担当部署などへ一元化し、スタッフの発言もそこに随時確認し進めることが一般的になっていますが、制作中の作品は広報によりスタジオ側でも情報公開されていることも多々あり、そのスタジオが今どんな作品に取り組んでいるかは、広報の情報などからスタジオの外部からでも知ることが可能です。
逆に言えば、制作中のスタッフが技術上の課題を関係者外で相談するようなことがあった場合、その内容によっては作品に使うテクニックや作品の方向性を予測出来てしまう可能性もゼロではありませんし、相談内容についても商品のイメージに影響がでないかどうかを慎重に判断して情報を発信していくことも求められると思います。そういった内容には判断が難しいケースもありますが、スタッフの技術サポートは基本的にはスタジオ内で対応し対処していく、という体制も一つの解決策として有効かもしれません。スタジオ内でサポートも含めて完結していくことが可能になっていくにつれ、プロダクションとしてもクライアントへの安心感を提供出きるという意味で自社の強みとしていけるように思われます。
海外の大型案件での映像制作パイプライン構築時のアセスメントの過程では、プロダクション側のコンプライアンス強化にともなうインフラレベルでのシステム構築などの可能性も問われることが存在します。また、クライアント側のリクエストにより、報告をいつでも行えるシステムの構築やチェック体制とその監査体制なども含め、インフラ面での工夫など様々な対応を随時行っていくことも日常的に存在します。プロダクションとしては、海外案件以外のプロジェクトの推進においても一定のモラルハザードの策定とその点を反映したコンプライアンス面のシステム強化に関するチェックも行われて問題ない姿勢の確立が重要になり、結果的に、会社としての情報発信体制と関わるスタッフの個人レベルでの情報発信への対応スタンスを問われていくと考えていいかと思われます。
これらの傾向から想像できるとおり、インフラ内でプライベートクラウド状または商用クラウドやその組み合わせとしての社内での”クラウドシステム”を構築していく場合、他業界でもよく言われる内部統制やコンプライアンス面での取り組みを行いながら、商品イメージをどう具体的に守っていくのかへの配慮が大切となってきます。
会合中でも話題にあがった、MPAA(アメリカ映画協会)のベストプラクティスといったものを、グローバルな基準として参考にしていくのも良いかと思います。
またこれらの問題意識は、会合後も様々な課題の提示と工夫に関するディスカッションが続いており、後の会合企画でシステム内での商品イメージを守るための取り組みを特集していきたいと思いました。コンセプト設計の段階から、実制作時の進捗管理の側面まで、これらの観点での見直しは今後会合内での様々なディスカッションに欠かせない視点と位置付けて行きたいと思います。
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