映像制作パイプラインでのストレージシステム構築時のポイント
Points in constructing storage system for film production pipeline
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
分散ストレージ構築時にも、NASの延長として扱い易いシステム設計は何かと旧来のワークフローの拡張の意味で好まれる傾向があります。NFSやCIFSといったプロトコルを使用し、制作マシンからファイルシステム上にマウント前提のツールやライブラリが多数存在することも要因のひとつとなっています。
2017年末の段階ではこの流れのままスケールアウト系ストレージを選択するスタジオが多いというのが印象を持っています。
一方でスタジオごとの文化や多様性を反映する意味で、オブジェクトストレージ採用を検討しているスタジオも多いと考えています。
スマホゲームなどの領域では、商用クラウド上でインフラを構築することが多いためか、様々なストレージシステムの検討を入念に行っている印象があります。
代表的なものは、GlusterFS, Lustre, Cephといったものが挙げられますが、スタジオ内で採用したアセットサーバーと計算クラスター(レンダーファームなど)との設計によってメリット・デメリットが大きく変わる上、referencing,instancingなどとの関係でも更にスタジオごとに採用基準が変わっていくことでしょう。
I/O面を考慮する意味で、採用するHDD,SSDなどディスクの種類の選択も変化するでしょうし、大規模なシミュレーションを扱うVFXなどのパートなどでの要求とモデリングなどのアーティストへの要求に対し個別にストレージを与えるか、または「大は小を兼ねる」的な採用をするか、などといった採用基準の多様性を生むポイントも存在し、SASかSATAか、1Gか10Gかなど、インフラ設計時の要求ラインと導入及び運営価格とのすり合わせの中で、各スタジオの多様性が生じていく傾向があると思います。
クライアントや保険会社向けのレポート生成を頻度高く行う必要のあるスタジオ(主に海外展開しているスタジオ)などは、頻繁なディスクアクセスによる故障率なども意識し選択を進めて行き、社内での管理者(ストレージは一般に機密性が高いデータを扱うので、極力自社以外の人間が関与しない方が望ましいと言われる)のスキルに合わせて容易に復旧出来るかなども重要な着眼点になると考えられています。
パブリッククラウド(主に商用のクラウドサービスを想定)やプライベートクラウド(主にオンプレミスでのいわゆるレガシーな映像制作環境を想定)双方を意識してのインフラ開発などが重要になり始める現在では、開発環境そのものをコンテナ内で管理する、rpmを管理するパッケージ管理サーバーをパブリッククラウド内で用意する、はたまた、ネット環境の良くないアウトソース先へ定期ミラーの仕組みを作るなど、昨今の開発環境構築はそれ自体が、映像制作パイプライン構築との絡み合わせでスタジオごとに多様な工夫を生んでいます。
IDE(統合開発環境)の統一は勿論ながらも、事前ビルドした社内開発用のパッケージの管理、それらのバージョン管理、各種自動テスト及び自動レポート生成などなど、付随する全ての仕組みをパブリック、プライベート双方のクラウドへのマッチングが各社で求められていく傾向にあります。
逆に言えば、それなくして、品質の保持さえクライアントへ提示することが難しくなることから、特に海外展開を見込むスタジオであるほど、映像制作パイプラインの設計時点でこれらの設計も基礎設計を終えていく必要が生じます。
映像制作スタジオごとに、各スタジオの文化を反映しこれらも多様性を帯びて行きます。
これらはスタジオごとの資産とも言える側面を帯びるため、なかなか他社のサービスなどで補強し辛い部分でもあり、自社完結して整備していく必要性が大きく出て来るポイントです。
迅速な社内対応を完備した映像制作スタジオとして成熟していくことは、海外の大型案件を受託制作していくインフラ環境を得て行くことにも繋がり、これらは海外展開での必須の要件になりうると思います。
会合中、ポリゴンピクチュアズが基礎的な説明を行い、映像制作パイプラインの要求レベルの解説なども進めいたいと思います。
under construction...
※会合までに資料の内容を更新する可能性があります。
※There is a possibility to update the contents of materials by the meeting.