イントラ内でのリファレンシングとインスタンシング
Referencing and Instantiation in intranet
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
本資料は会合後にディスカッションされた内容を踏まえ記載しています。今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
会合で設定された「イントラ内でのリファレンシングとインスタンシング」というメイントピックは、文字通り、オンプレミスでのアセットサーバとそこに対するリファレンシング、インスタンシングとなります。
このトピックを選んだひとつの目的は、今後生じるクラウドへのオンプレミスのインフラへの拡張について考えていくために、まずは講演した二社を中心にオンプレミスでのリファレンシングとインスタンシングの多様性をディスカッションすることにありました。
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■アセットのリファレンシング
■Assets referencing
Mayaなどプロダクションユースで用いる商用DCCツールには、Mayaのシーンをリファレンシングする、インスタンシングする機能などが備わっており、ポリゴン・ピクチュアズのパイプライン上ではそれらを現在利用している構成となっていることが話されました。しかしながらDCCツールに依存したファイルフォーマットでは、パイプライン上のデータ共有の面で特定のソフトウェアへの依存度が高くなってしまうため、PixarのUSDなどに代表される、DCCツールの外部でのアセットのアーカイビングやシーングラフのI/Oなど、アセットの各データの個別プロパティへの柔軟なアクセスを含め、データハンドリング全般の見直しが今後の課題となっていくことも紹介されました。
それらはクラウド時代には更に通信時の軽量化に伴うアセットに対する何らかの抽象化を考えていくことを検討する必要があり、特にキャラクターとそのリグなどのアセットのデータ格納方法の見直しも含めると、今後のインフラの大幅な変革に伴う課題の抽出が会合中なされたように思われます、
スタジオフォンズからは、システムとしてのリファレンシング以上に、レイアウト工程とアセットのリファレンシングに関する同社の手法の紹介が行われ、それらはクラウド時代を見据えての軽量化されたエイリアス状のデータで遠隔地の実データを取り扱う上で簡便であるとディスカッションが進みました。しかしながら、スタジオフォンズの他の仕組みと同様に、利用するアーティストへのスキル要求が課題と感じられ、両社の歩み寄りによるリファレンシングの仕組みの見直しが会合中かなりの時間をかけて行われました。
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■ストレージ面からの考察
■Consideration from storage side
現在の様々なストレージシステムのうち、速度と安定性で両社ともにNFS主体での構成となっていました。しかしながら、スタジオフォンズではストレージ要求がさほど大したものではないため、ポリゴン・ピクチュアズのストレージに比べてさほど工夫が見られない状況でした。ポリゴン・ピクチュアズのストレージでは現在、Isilonなど可用性と冗長性が高いスケールアウト型のストレージを用いていますが、データ容量の肥大化やI/O性能への要求は年々増加傾向にあり、スタジオ内でのストレージはリプレイスの度により大容量で高性能なストレージへとリプレイスをかけるような運用であると紹介がありました。
しかしながら、それらはストレージそのものへの課題というよりは、ストレージ内にどのようなデータを保持し、どのようにデータアクセスをさせるかといったことが重要で、前述のアセットのリファレンシングへ課題が集中していたように思われました。
アセットのリファレンシングやインスタンシングを工夫し効果的にパイプライン上に設計することが、容量の削減やネットワーク負荷を低減させることにもつながり、結果的にアーティストの作業環境の改善につながるものと考えられます。
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■FXやレンダリングからの考察
■Overview
両社ともに将来向かいたいパラダイムとしては、サーバからアーティストのローカルへデータを行き来させることなく、すべてをサーバ内で処理していくワークフローが挙げられました。しかしながらこれは商用DCCツールを用いている以上難しい面も多々あり、今考えるべき課題として計算クラスタでの分散処理を基本とした様々なワークフローにフィットするアセットやリファレンシングメソッドの取り扱いが挙げられました。
比較的データ量が肥大しがちなFXやレンダリングといった分野では、なるべくデータの移動を低減させることがポイントとして考えられ、これらのためにもリファレンシングやインスタンシングは重要であるという認識でした。
またその際、HoudiniのDigitalAssetのように一連の処理をアセットとしてアーカイブして、それらに対するリファレンシングを今後どのように考えていくかなど、様々なディスカッションを行いました。
これらの課題を解決するには、将来的にクラウドインフラの活用といった、インフラ面と協調して設計していくことが重要であるとう認識が両社にあり、リファレンシングやインスタンシングをサーバーサイドで実行しつつ、そのためのブラウザインターフェースの設計など、課題として浮かび上がってくるであろう内容についてもディスカッションがありました。課題の解決にはそれなりに時間がかかるものと思われますが、スタジオとして今後の展開を検討していくなかで、とても有意義な会合であったと思います。
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