小規模スタジオでのパイプライン構築の面白さ
Fun of pipeline construction in small studio
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
近年の商用ソフトウェアとオープンソース双方の充実で、小規模なスタジオのほうが小回りの効く、制作の自由度から見てもとても刺激ある時期に入ったとモデレータ達は考えています。
この記事では、会合で特集する「サーバサイドでのプロシージャルモデリング」と少し離れますが、背景としての小規模スタジオならではの面白さに関して少し書いてみたいと思います。
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■制作環境の変化
■Changing production environment
一般的にパイプラインというと、ポリゴン・ピクチュアズで構築しているような、大規模な制作のための、おおがかりなシステムを想像する人も多いかと思われます。
少し昔なら、一定規模のインフラを整えるにも初期費用が必要で、その費用は、プリプロ工程のいわゆるアイデアを練るような段階でもかかってしまうとても強い制約がありました。
使えるものになるかわからない段階での投資が必要になり、そもそも制作にかかっていく費用も見積もれないまま構築する、旧来のスタジオではそういったリスクと引き換えにパイプラインを構築して来たケースもあったのではないかと思われます。
近年、まだコストは高いとはいえ、クラウドインフラの進展でこれらの制約がなくなりつつある状況に思います。期間レンタルのDCCツールも増え、パイプラインツールなども期間レンタルで入手できるようになり、人手をかけたいときまでは開発に専念したり、そういう自由が最近では得られ始めたと思います。
これらはひと昔前であればなかなか考えられない状況です。今の時代ほど、小規模スタジオでの制作に向いている時代もないのではないかとも感じています。
例えば、プリプロ段階では少人数でじっくり企画を練っていき、あとは一気に制作する段階で問題になりそうでなければ投資していく、このような循環で制作していくことも可能になりつつある時代です。
商用ソフトウェアとしてのパイプラインツールをバックアップに用いつつ、インハウスのパイプラインは自社の強みを活かした構成に特化して開発していく、1-2名の開発者で20名程度のアーティスト向けの自社用パブリッククラウドを構成し発展させていく、最近ではそのようなアプローチでのスタジオ運営も、実用段階に入って来たのではないでしょうか。
ポリゴン・ピクチュアズの規模のプロダクションでもそのような商用とインハウスの乗り入れをうまく活用し開発を進めることが多いです。
商用のShotgun Softwareなどを用いつつ、自社開発はプリプロシステムなど自社の文化を育てられる仕組みに注力していく。「標準的」なサービスを極力ユーザ数の多いソフトウェアを用いて構築し、「標準的でない」機能やサービスをインハウスで丁寧に開発していく。実際、ひと昔前ではこういうアプローチでの開発はかなり難しかったのではないでしょうか。まさにクラウドインフラ時代の恩恵としてもこれらは考えていけるでしょうし、チャレンジもし易い時代であると言えます。
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■インハウスでの開発
■Development in-house
自社で開発する環境は基本的には自社のスタッフが使えればいいので、多少のクセや使いづらさが出ても、チャレンジがしやすいと言われています。
小規模なスタジオほど、これらの利便性を小回りよく扱っていけると考えられますし、今の時代は小規模スタジオの方が面白いものに挑戦しやすい側面もあるのではないでしょうか。
もちろん、長期利用を目的としたライブラリ開発を小規模のスタジオで行うのは大変です。しかしながら、最近は独立系のスタジオも増えていっていますし、うまく稼働しているスタジオほど商用のソフトウェアのうまい組み合わせを模索しながら開発を進めているとも思います。
サーバサイドの開発力をスタジオ内で高めていく場合、インハウスでの開発も、アーティストの数の増減を意識して進めていくのも可能ですし、それらは最初から商用クラウドのサービス内で構築していけばよりリスクを回避できるかもしれません。
このような将来にわたるインフラ環境の発展を冷静に見ると、いまは小規模のスタジオの方がフットワーク軽く面白いことを出来る時代でもあると感じられます。
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■小規模スタジオでのインハウスでのサーバサイドの開発
■In-house server side development in small studio
最近はオープンソースも進化も活気があるような状況ですし、大手企業がオープンソースの開発に投資を進めているおかげで、昔なら考えられない程度に便利なオープンソースのサーバサイドでの仕組みなども増えてきています。
「クラウドインフラとマイクロパイプラインの詳細」で少し紹介したマイクロパイプラインでの単純な例をご覧いただければ比較的理解はしやすいと思いますが、実践用に真剣に書くのは少しは苦労するとしても、スタジオ内でテスト的に機能を追加していく、それを試してサーバサイドで動く機能を開発していくのは、通常のエンジニアがいるスタジオであれば、決してそこまでハードルが高い開発ではないと思います。
少し込み入った開発でも、今まででなら規模の大きいスタジオでしか取り組み辛かったこれらのサーバサイドでのサービスなどの開発が最近は非常に挑戦し易くなって来たとも言えます。
規模お大きいスタジオでしかチャレンジ出来ない制作や開発ももちろんあるとは思いますが、小規模のスタジオの方が、昨今はサーバサイドでの開発もチャレンジしやすいのではないでしょうか。
クラウドインフラとマイクロパイプラインの詳細
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_phones_micro_pipeline/index.html
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■最近のサーバサイドの開発のしやすさ
■Recent ease of server side development
Jupyterなど対話性のフロントエンドも普及してかなりの年月が経ちますが、最近のJupyterLab(次期のJupyter)などの開発途上の動画などを見ると、スタジオ内でのプロシージャルな仕組みをサーバ内に置いて共有し、開発者はそこに新しい機能を増やしといった、そういうパラダイムに比較的向かいやすくなっていくように感じられます。
もちろんこれらはエンタメのCGを扱うには全てが揃っているわけとはいかないですが、threejsなど3Dオブジェクトを扱うに向くJavascriptなどもそこに組み込んでいけますし、Mayaなどでメッシュの点、辺、面をセレクトするような仕組みさえ用意出来れば、プロシージャルなものはJupyterで開発してもいいのでは?と思う面もあります。
みんなで個別の実装を開発するのではなく、こういう開発をコミュニティーで進めていくのも一つの発展なのかなとモデレータは考えています。
今までは商用DCCでのプラグイン開発が主になってきたTA/TDの実装対象も、現代であれば、サーバサイドでの機能構築にシフトしていってもおかしくはないのではないかとも考えています。
会合ではこれらを背景に、今後の「サーバサイドでのモデリング」へのディスカッションを行いたいと考えています。
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※会合までに資料の内容を更新する可能性があります。
※There is a possibility to update the contents of materials by the meeting.