引き継ぎに関して検討した事柄
Things discussed on handover
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
この資料は「クラフツマンシップとアーティストのテクニック 4」に向けて書かれております。
今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定で書き進めておりましたが、公開は会合の後となっております。
■考察時の背景に関して
■On background of the consideration
モノリシックに内部で密に連結されたアセットを扱うことで、街をひとつを3DCGとして構成し扱うパラダイムは比較的Referencing/Instancingなどの技術の発展で映像制作上身近になって来たと思います。
個々の建物の意匠面や構造面は我々映像制作に関わる人間では正確にその意図や仕組みを理解は出来ないものの、3DCGとして構造を考えていく際、自然に建築という我々にして見れば他分野への素朴な関心や、興味が先走ったかたちでの関心を強めていくことがあります。
すると、普段の研究開発面での調査対象として、日常的にはSIGGRAPHやEuro Graphicsなどのエンターテインメント通例の海外誌を中心に調べる事が多いと考えられますが、前述のような関心で調べ始めていくと、SGP (Eurographics Symposium on Geometry Processing)、SimAUD (Symposium on Simulation for Architecture and Urban Design)など今まで触れて来なかった雑誌も視野に入れていく必要が生じてきます。
しかし一方で、それらは我々自身のスキルを大きく超えた知見であることも多々あり、視野に入ったからと言って接し方から考えていく傾向も生じてきます。
そこでこのセミナーシリーズでは、映像制作やゲーム開発にとどまらず、専門的な視点で触れて行くには遠いと思われる分野への関心などとの付き合い方や、個々の職人性の領域などのその人自身しか持ちえないようなスキルにどう他者として接していくべきか、集団としての制作上の観点から考えていけないかと、モデレーター達は考えていくことにしました。
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■他分野の知見と接することと、今回の会合の題材
■To contact with knowledge of other fields and the subject of this meeting
ここでは、今回の「クラフツマンシップとアーティストのテクニック 4」に向けての会合の題材設定に関してまとめていきたいと思います。
映像制作で扱うシミュレーションソフトウェアは、その目的の違いにより、科学技術系ソフトウェアでの物理シミュレーションソフトウェアを扱うこととは大きく違ったユースケースを想定され設計されていると思われます。もちろんそれは誰しも自然に思われることと思いますし、我々は普段の制作では、建築などの構造解析で用いられる構造計算を必要とする場面に出くわすこともありません。
しかしながら、建築意匠の領域では我々が親しんでいるMayaなどもその事例紹介で登場することもありますし、他分野で慣れ親しんだソフトウェアが活用されているのを目にする機会も増えてきています。
そうであれば、私達のような映像制作やゲーム開発の領域に関わる立場でも、他分野に刺激を受けながら新しい使い方や視点を獲得していくことは出来ないのかと考え始め、今以上に広く浅く様々なトピックスを扱っていけないかとモデレーターたちで考えつつ進めていくことにしました。
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■意匠面でのアプローチの違い
■Difference in approaches on the design side
元々のクラフツマンシップセミナー(*1)では、時代を経ても方法を変えて残っていくものを扱おうとされていました。当時は映像制作に特化しない様々な分野を扱う前提で開始されていたことを念頭に、今回の会合のトピックスを考えていく際、分野による意匠面でのアプローチの違いを特集出来ないか?と考えて進めていました。CADやBIMのソフトウェアアーキテクチュアやそのユーザーのユースケースなどにも関心が尽きない一方で、まずは意匠面でのアプローチの違いを考えていくことにより、二つの分野の接点を考えていくことが出来ないだろうか?、プリプロサーバの設計などにそこで得られた知見をうまく導入していけないか考えていけないか?、といった、そういう狙いでこの会合のトピックスを設定していました。
そこで、ゴールを設定しディスカッションするのではなく、様々なアプローチの違い、各分野の文化の違い、そういったものを中心に会合時のディスカッションのトピックスを設定していくことで、元々のクラフツマンシップセミナーの意図を汲み取りつつ、このA Film Production Technique Seminarへ行かせていけないかと今回は手探り感を強めながら、企画を進めていくことにしました。
*1元々のクラフツマンシップセミナーの主旨などの説明
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/crafts_history.html
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■連携と逸脱
■Collaboration and deviation
「映像制作パイプラインとアーティストのテクニック 6」で得られた重要な展開上の問題意識として、「世界で進む標準化」と「社内で進める脱標準化」という連携と逸脱に関するバランス面での話題がありました。ちょうどこの構図は「クラフツマンシップ」をセミナー内で考える上でも重要に思え、それは「集団制作としての連携性」と「そこで働くアーティストの個々の個性の連携上での逸脱性」という側面で考えて行くといいのかと思われました。
多くの場合、スキルの高いアーティストであるほど、高い感受性と経験を積むことによる他に類を見ない職人芸的なアートワークを展開しようと制作内では進める傾向があり、そういったアーティストの個性をいかに集団制作として発揮していける場を構築していけるのか、そういった側面が、「映像制作パイプラインとアーティストのテクニック」でも大きな議論の焦点となっておりました。
このような個性豊かなアーティストによる制作されて行くアートワークは、そのアーティストが制作から離れていけば再現出来ない傾向が強く、そういったアーティストの個性を引き出す仕組み作りというのは、インフラとしてスケールし辛い、そういった側面がどうしても生じます。
そこでこの「クラフツマンシップとアーティストのテクニック」では、インフラ構築に直結した議論としてこれらの課題を議論して行くことから離れ、アーティストの個性を引き出す仕組みや「クラフツマンシップ」を支えるツール開発、そこに加えて流動性高いアーティストの雇用形態に対してインフラ的側面でスタジオとして何を考えていけるのかなど、試行錯誤色の強いセミナー内でのディスカッションを考えていけないか、モデレーター達は当面このように進めて行くことで今後の展開を模索して行くことにしました。
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