制作システムとしての省エネ化の課題
MIssues of energy saving as a production system
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
この資料は、「クラフツマンシップとアーティストのテクニック
20190928」で参加者間で交わされた今後の映像制作の課題を取り上げて行く意味で、モデレーターを中心に、過去会合での話題を振り返りつつ、徐々に省エネ化に関する課題(又はその候補)をまとめて行きたいと思います。
モデレーター含め、参加者のほとんどは、省エネ性追求の上での十分な専門的知識を保有しておりませんので、参加をきっかけとして考えるに至ったこの課題に関する、メモ書きという側面をもって記載して参りたいと思います。
■概要
■Overview
今回の会合では、社内での省エネ化の一環として、通常ならGPUで行いがちな開発を、CPUのみで行う開発として実装されていた発表が含まれておりました。そこでは、アーティストが常時用いる端末での常時稼働率の高い処理を扱う上で、近年の傾向と異なり、CPUのみの計算で達成出来ないかと試行錯誤されておりました。
講演者によれば、GPUの省エネ性も近年向上しているとは思うものの、CPUでの省エネ性はまだ多少のアドバンテージを残していると思われたことがきっかけで、それらの処理を省エネ化の意味で取り組むことにより、アーティストの人数分の端末内での省電力を進められないかと取り組まれた様子を話されておりました。
この他にも省エネ性を意識した工夫を紹介されたスタジオもいらしておりましたが、映像制作の電力使用量は非常に大きなものと考えられておりますし、制作工程全般を支えるシステム設計に関する話題を映像制作パイプラインで扱っていくなかで、制作システムとして見た場合の、省エネ化を考えて行くことは意義があるように思われました。
そこで、このページでは、今後、様々な観点で映像制作の制作システムとして見た場合の省エネ性や省電力、エコ、グリーン化といったキーワードでの模索を進めたいと思います。
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■あまりに規模の大きな課題
■Too big a challenge
この資料で挙げている課題の多くは、現在のスタジオの規模や開発力、基礎研究的なトライアルをしていく余裕の無さなどを考えると、取り組みが有効に働かない可能性のある場合が多いと思われます。出来る範囲で少しづつ取り組んでいくにも、どこが課題で、実際それが本当に課題なのか、と、自問自答しつつ勧めていくだけでも手一杯かもしれない、そのような不安も強くあります。
一方で、やはり考えていかないといけない、そういう漠然とした危機感だけは胸にある段階で、逆に言えば、具体的なアクションを起こすにはリスクがあるのかもしれない、そういう葛藤を抱えつつ会合内でも考えて行きたい課題となります。
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■Green Production Guideなどの存在
■Existence of Green Production Guide
Film、Television,、Commercialに関してのGreen Productionやエコフレンドリープロダクションといった推進も盛んで、Green Production
Guideといった様々な資料がインターネット上で公開されています。
CGを主に扱うスタジオの多くの場合は、電子機器の消費電力といった側面での努力は必要になっていくと思われますが、IT技術における環境への取り組みは歴史が古く、Intel社を始めとする多くの企業の取り組みがインターネット上で閲覧可能かと思われます。
他にも他分野での各種取り組みも公開されており、今後我々が何か取り組みを考えていく前に、既にある知見に対し、検討していくことも重要かと思われます。
Green Production Guide
https://www.greenproductionguide.com/about/
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■手探りでも考えていくこと
■Thinking by fumbling
圧倒的大半の制作がデジタルデータの取り扱いで進む中、省エネ省資源化という大きな課題に対してどう考えていくかと何度も議論を重ねました。その中でも、アセットの再利用性について考えて行くことや、アセットを生成する過程での無駄を減らして行くことなどは映像制作上自然と求められていくことから、まずはこれらの課題に関して考えて行くことになりました。
一方、省エネ化や省資源化といった問題は、製造や生産を主体とした産業領域の方が進んでいることが明らかで、まずは自分達の考えを整理し、生産、製造、制作での視点の違いの整理をセミナーなどで話していくこととしました。
http://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/kobe_studio_seminar/workshops/ws20200417.html.ja
ワークショップ: 制作や製造、生産に関わる省エネ化や省資源化に関する実践的視点からの課題
コロナウイルス拡大への懸念により、会合自体は延期となってはおりますが、会合準備を通して、映像制作でのワークフロー全体でのアセットの再利用性や工程内の無駄に関して考えていく、良いきっかけを得られたように思います。
予定されていた会合は延期されたものの、開催時に備えて、あるいは他の会合での紹介を通して、今後も手探りであってもまずは考えていくべきと思われました。
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■デザインとして考えて行けるサスティナビリティ
■Sustainability that can be considered as a design
工業製品を扱っているわけではない映像制作スタジオの場合、ゼロウェイストやスタジオ内での改善などは勿論可能な範囲になって参ります。一方で、デザインやアートディレクション面でサスティナビリティについて考えて行くことや、その検討プロセスそのものを、映像制作でのプリプロダクションプロセスに組み入れていける可能性に関して、「ワークショップ:制作や製造、生産に関わる省エネ化や省資源化に関する実践的視点からの課題」の事前会合から気付きました。
映像制作スタジオから見て、サスティナビリティは、プロダクトデザインやアパレルデザインでも近年多くのアプローチが存在する観点に思えます。実際、デザイン性と癒し面での要素も考えて行くことになるリゾート地でのサスティナブルなレストランなどの実践を見ていると、映像制作でのデザイン面やアートディレクション面での発想で、何か考えて行けるのではないかと思われることもありました。
例えば少し思い付いた範囲では、廃材やリサイクルプラスティックなどを活用したプロダクトデザインなどについて、デザイン上の自由度をアニメ制作で得られた観点で展開して行く、remakeやrepairを行う際のデザイン上の語彙開発を進めて行く、アート面での廃材利用によるプロダクトデザインの自由度をプロシージャルに検討して行く、コラージュ性あるデザインパターンや古い町家などの改修などのデザイン面でのアイデアのプロシージャルなスタディ環境を構築し提案して行く、などがあります。プリプロシステムに、(その実社会を意識した)検討プロセスを組み込むことを考えて行くことで、日常的にサスティナビリティを意識しスタディ可能な、そのようなプリプロシステムヘの展開も検討していけるとも思えます。それらは映像制作スタジオとしても、デザイン検討時の語彙の幅をもたらすことにも繋がり、プリプロ工程も請け負うスタジオとしての、表現力の幅を広げることにも繋がる可能性があります。そのような意味で、検討を進めて行くべき事柄に思えました。
勿論、請負い型制作としての映像制作スタジオの場合、このようなデザイン面の模索はなかなかし辛い側面も残るのですが、近年の大手企業によるサスティナビリティ面での推進状況から、映像制作スタジオとしても可能なことは増えて行くように思われました。
今後、これらの観点での推進が果たしてどこまで進められるかはわかりません。しかしながら、ここ最近の映像制作のプリプロシステム運用で培ったデザイン面でのスタディプロセス効率化などの観点で、何か出来ることを考えていきたいと思いました。
Inside the Potato Head Beach Club in Bali, Indonesia
https://potatohead.co/seminyak/eat-drink/ijen
https://www.youtube.com/watch?v=dVFYJyUHgco
テラサイクル
https://www.terracycle.com/ja-JP/about-terracycle
「ワークショップ: 制作や製造、生産に関わる省エネ化や省資源化に関する実践的視点からの課題」の事前会合
http://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/kobe_studio_seminar/workshops/ws20200417.html.ja
WWD, Sustinability
https://www.wwdjapan.com/topic_tag/what-is-sustainability
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■環境への配慮とデザイン性の両立
■Balancing environmental consideration and design
テラサイクルの容器再利用事業Loopのように、サスティナビリティを追求したからこそ生まれるデザイン面での自由度獲得やプロダクトの長寿命性推進は、映像制作パイプラインの設計の上でもモデレーター達にとって大きな刺激となって来ております。長期利用前提でのデザイン性追求をしていけるというのは、サスティナブル意識の高い企業による実践の中でも、デザイン面での自由度と使い捨て文化から環境への負担を減らしながらのサーキュラーエコノミー(循環型社会)の実現への展開としても、映像制作においてもこの発想を取り入れて行けないかと、関心を持ち続けてしまう対象でもあります。それらを支える研究開発や、製造からデリバリー、回収と洗浄、再利用されたパッケージにての再デリバリーなど、製品と消費者を繋げているフローの全体を見据えたサービス設計としても、近いモノが映像制作でも可能か?と、考え続けたいと考えさせられてしまいます。
ここまでの会合では、一社の取り組みとして、映像制作のプリプロシステム上貯蓄されて行くが再使用が非常にし辛いアセットに対して、それらを映像制作で扱う雑多なアセットへ活用すべく、元アセットの特徴の転写などの、様々な実践も多少紹介致しました。本会合では、もう少しこれらを掘り下げて紹介する予定ではありますが、映像制作においてのデザイン性の自由度の発展を支えて行く意味で、利用されずに溜まって行く一方のデータの、効果的な再利用などを検討して行くのは面白いかもしれないと思い始めております。
しかしながら、そもそも廃棄物はそこでは直接関係なく、サスティナビリティとは若干異なる部分も多いかと思われますが、圧倒的大半の制作がデジタルデータで完結して行く傾向の強い映像制作ならではの視点で、データの再利用性や、長期利用のアセットの在り方やそれらのプリプロ時のスタディプロセスパイプラインの設計に関して、モデレーター達としても今後考えて行きたいと思われました。
テラサイクルの容器再利用事業Loop
https://loopstore.com/
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■リモートワークとオフィススペースにおける、拠点分散と省エネ性
■Distributing bases and saving energy in remote work and office space
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