様々なアセスメントとインフラ内での自動テスト
Automated test within various assessment and infrastructure
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
本資料は会合後にディスカッションされた内容を踏まえ記載しています。今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
近年では海外からの受託制作やアウトソーシング、海外での展開を視野にいれた活動が活発になってきているかと思いますが、それらの活動のなかでは様々な点でアセスメントが発生します。
それらのアセスメントに対応していくなかで、パイプラインシステムやインフラの設計が重要な役割を担っていきます。本資料では一般的なアセスメントの内容を紹介しながら、パイプライン、インフラ面での対応について解説していきたいと思います。
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■様々なアセスメント
■Various assessment
海外からの受託制作の場合、取引の開始時などにクライアントからアセスメントを受けるケースが多く見られます。会社規模や組織体制にはじまり、ワークフローの詳細や、チェックやリテイク時のレビューフロー、編集との連携、アーティストの平均的な生産性といったプロダクションフローに関わることや、そのワークフローを支えるパイプラインシステムの詳細、ストレージの性能やネットワークの構成、レンダーファームなどの計算クラスターの処理能力、ITセキュリティ対策やロギングおよびその監査体制、レポート方法などなどのインフラ関連、さらにはインハウスツールの使用の有無やRnDの開発規模といった開発関連まで、アセスメントの内容は多岐に渡ります。
これらは多いときで200項目をこえるようなこともあり、オンサイトによるアセスメントを受けることもあります。
契約時には生産性のパラメータなど、細かな項目が設定されることもあり、これらの条件をクリアしていくためにはパイプラインシステム内で仕組みとして実装していくことでしか対応できないことも多く、またそのパイプラインを構築するインフラ面の設計も重要となってきます。
一方で、自身が海外のパートナースタジオやアウトソーシング先へ制作を委託する場合も、それらのスタジオに対して同様なアセスメントを行うことも求められていきます。特にそれらが国外となる場合は、その国でのインフラやITリテラシーの水準、文化的な背景なども考慮する必要があり、アセスメントの難度が高いケースもあると思われます。
特に資本関係などがない会社間では、要求事項の合意に経営レベルでの対話が必要になることもしばしば想定されます。実際に海外のクライアントからの要求でも、資本関係のないスタジオへのアウトソーシングを制限されることもあり、丁寧なアセスメントを実施していくことでリスクを最小限に抑えるような意識が大切になると考えます。
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■アーティストの生産性とマシンの性能
■Performance of machine for artist
アーティストの生産性については、プロジェクト開始時に契約内容に含まれるかたちで、予め設定されていることが多いです。たとえば、全体スケジュールにあわせて、アーティストがスケジュール内にどの程度の物量をこなす必要があるのか、リテイクやイテレーションの回数はどのくらいを上限とするのか、そのパラメータ設計のなかで、きちんと品質を担保できるのか、といった内容になります。
またそれらのパラメータ設計どおりの結果がでていkるのかなどを、パイプラインシステム上でトラッキングし、レポートとしてクライアントに報告できるような仕組みも必要となるでしょう。
同時にそれらの生産性を達成するうえで、アーティストマシンの性能についても、適切なスペックのマシンを割り当てる必要があり、工程別にもマシンスペックの要件が異なるなかで、性能評価を行いながらアーティストマシンの構成を検討していくことがポイントになると思われます。
なお、その際必要になる自動レポート生成などは、下記に詳細をまとめてあります。
自動レポート生成の構成上のポイント
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_phones_automatic_report/index.html
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■計算クラスタやレンダラーなどの性能
■Performance of computational cluster and renderer etc.
レンダーファームといった計算クラスターやレンダリング画像を生成するソフトウェアであるレンダラーの性能についてもそのトラッキングが必要となります。スケジュール期間内にレンダリングを完了させるために、想定されるレンダリング画像の枚数とその平均レンダリング時間などから、必要となる性能やリソース量が予測し、それらが計画通りとなっているかを評価していきます。
商用のディスパッチャーを利用する際などは、そのシステム特有のフォーマットでログが出力されていますが、具体的にはそれらを収集し、レポートできるかたちに集計などを行なっていきます。さらにディスパッチャーから出力されるログの情報だけでは不足する項目も存在するため、パイプラインシステムなどで追加で必要なデータを出力するといった仕組みも、設計のなかに組み込んでいくことも場合によっては考えられます。また商用のレンダラーを利用する場合がほとんどですが、プロダクションを進める過程で、過度なクオリティを求めたりソフトウェアパラメータの設定ミスなどで、当初予測していたレンダリング時間を大幅に上回ってしまうこともしばしば散見され、トラッキングをしながらアラートを出していけるような仕組みは非常に有効となります。
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■コンプライアンスへの配慮
■Consideration for compliance
国内の制作案件などでこのような詳細なアセスメントを求められることはほとんどありませんが、海外からの受託制作では状況が異なる理由として、制作における資金調達の形態が異なっていることが考えられます。
国内の映像制作は制作委員会方式による出資者によるリスク分散と利益分配を基本とした、エクイティファイナンス方式であるのに対して、海外の制作の場合はデットファイナンスや保証会社主体による資金調達方式のため、そのリスク分析や保険会社への説明やレポートという面で、アセスメントがより必要になっているものと考えられます。制作会社も完成を保証するためのE&O保険(エラーズ・アンド・オミッション保険)の加入を義務付けられることもあり、有事の際にはレポートの提出を求められることもあるでしょう。
アセスメント時などで設計された生産性やスケジュールや、契約上の納期の厳守するかたちで業務を行う必要があるわけですが、それらの義務を果たせない場合は、当然のことながらペナルティも発生していきますし、生産性や性能の計算見積りにミスやズレがあった場合、結果的に大きな損失を発生させてしまう可能性もあります。
制作委員会方式では、出資者間での信頼関係によって成立する部分もありましたが、保険会社などが介入した資金調達では、自然と他業界と同様なコンプライアンス水準を求められることとなり、レポート提出も迅速に行えることを考慮すると、日々のワークフローやパイプラインシステム、インフラのなかでデータをトラッキングし、自動化されたテストの仕組みなどでアラートが上がるといった仕組みが必要となってくるでしょう。
これらの要求を満たすかたちでパイプラインやインフラが設計されていることが必要で、契約上の制限からも自社内の責任者が、これらのコンプライアンスに配慮しながら、実際にパイプラインやインフラを設計、開発、運用していくことでしか対応できないものと思われます。
なお、その際セキュリティ面や、強いて言えばMPAAベストプラクティスなどを検討することになりますが、下記に詳細をまとめてありますので、参考にしてみて下さい。
映像制作インフラとMPAAベストプラクティス
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_infrastructure_mpaa/index.html
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