サーバサイドでのプロシージャルモデリング
Procedural modeling on the server side
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
モデレーターにとっても参加者にとっても、今回の会合の題目である「サーバサイドでのプロシージャルモデリング」は未踏領域であって、会合までに課題が解決しているような題材とは考えておりません。そもそもプロシージャルモデリング自体もまだ発展途上である印象が強く、「プロシージャルになりにくい部分へ焦点を当てたモデリング」に焦点を当て、すこし中期的な目標としての「サーバサイドでのプロシージャルモデリング
」を特集したいと考えています。
この題材を特集として設定した理由の多くは、昨今のインフラ技術の発展をうまく生かすための題材という意味が大きく、加えて、今まで映像制作業界で培われて来た技術の多くがそのまますぐには移行しづらいと思われるため、その背景もふまえ、今までの技術やテクニックを見直していけるかもしれない、そのように考えたことによるものです。
過去の会合ではクラウドインフラやWebサービスといった内容についてディスカッションしてきた経緯がありますが、それらで得られた知見やクラウドインフラの特徴をうまく発展できることも期待しています。
OnShapeに代表される、フルブラウザでのコラボレーション環境は魅力的なものになっており、映像業界での利用には同様な環境は少ないものの、同じような仕組みが映像制作にも普及していけば、アーティストも制作環境をオンプレミスで自前で整える苦労から開放されうこととなるでしょうし、グローバルな制作体制のなかでもスタジオ間でのデータ共有の一部を削減できることも予想され、過去の数回の会合で得られた知見からも面白い題材であると考えています。
本会合用の関連資料欄には、可能な限り今現在視野に入って来た技術などを取り上げ、多少の整理を行いながら会合での実りある議論のための備えとしたいと思います。
会合時に、講演者が完成度ある講演や新しい考えの提示をするには、今回ハードルの高い題材が設定されています。モデレーター達自身も、これらの題材について調査し、考え、構成を思案し、そこで詰まった課題や気づいた点などの報告などを話していくのが精一杯だと考えています。
しかし、この題材は非常にディスカッションしていく上では面白いと思える題材で、少しでも会場で議論が活発になればと思っています。
会合当日近くまでには、このページ及び、関連資料ページの今回の会合欄に、少しでも事前資料は増やしたいと思います。随時チェックのほどよろしくお願い致します。
過去の数回の会合 https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/fppat_seminar.html
関連資料ページ https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/fppat_materials.html
OnShape https://www.onshape.com/
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■理想的なゴール
■Ideal goal
会合でのディスカッションに先んじて、ここではまずモデレーターの考える長期的な理想について書きたいと思います。
パブリッシュを基本とした映像制作パイプラインの構築の際、データサイズの大きいアセットのトラフィックは非常に負荷が大きくシステムの負担増加の大きな要因と言えます。またこれらの通信時にはアーティストが待機することとなり、プリプロ工程やプロダクション工程でのイテレーション作業の効率を下げてしまいます。
そのため可能であれば、ブラウザ経由でサーバ内に直接アセットを生成し、それらをリファレンスやインスタンスを行うと同時に、シーンアッセンブルしたままサーバ内の計算クラスターへ各種計算を分配するプロセスに移行していきたいとモデレーターたちは考えています。
過去の会合でスタジオフォンズが紹介したJupyterHubをWebフロントにした制作環境もそれらの解決のひとつの方向ですが、柔軟なパイプライン構築環境の設計には慣れ親しんだQt系のシグナル/スロット形式での対話性なども必要になり、各種工程に合ったWebアプリケーションの生成も重要なトピックとなっていくと思います。
現在、DCCツールのメンテナンスコストは増大傾向にあります。すべてを一元管理とまでは行かなくとも、一定の機能をサーバ内での処理に置き換えていくことができるなら、レンダーファームやシミュレーションファームとして用いる計算クラスターのマネジメントコストの軽減を含め、制作時間に余裕を持っていける流れにつながるとも思えます。しかしながら、ここではCPU/GPUでの各種実装時に、エラーの少ない計算カーネルの設計を更に突き詰めることも必要で、現在の制作パイプラインのインフラ設計とはまた違った視点での見直しが必要になります。
これらの課題を考えていく意図のひとつとして、今回の会合で特集する「サーバサイドのプロシージャルモデリング」として、大量のプロシージャーを評価する前提でのプロシージャルモデリングといったユースケースがあります。シーン内で扱うプロシージャの数と計算負荷が高くなるほど、これらのアプローチは有効と思われますが、一台のマシン内で対応しようと考えていた現状と異なり、オンデマンドに必要なだけのCPUとGPUをそのプロシージャーの評価に割り当てるといった環境構築が課題となります。つまり、インフラ全体への計算リソースの分配を想定したインフラにおいては、現在の制作パイプラインの直面している多くの課題への解決につながる可能性があり、今回の会合ではそれらもトピックのひとつとしてディスカッションしたいと思います。
スタジオフォンズでのパイプラインとインフラ
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/phones_pipeline_infrastructure/index.html
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■現状想定する課題
Current issues
通常のWebサービス構築と違い、流動的な制作プランの変化に対応できる制作環境をどのように実現するかが課題のひとつとなります。サーバ内で管理し運営していく以上、マイクロサービス化した計算カーネルの設計は重要となり、CPU/GPU(または双方同時に利用)を扱う各種計算カーネルを今まで以上に堅牢に設計する必要も発生し、その上で、現在のDCCツールで扱う各種計算をプロシージャルなかたちで容易に再編構築可能なネットワーク生成とその管理システム構築などが開発上の課題として浮かび上がってきます。
一方でアプリケーションランチャーなどの管理運営は簡便化が進む傾向になります。サーバー内でマイクロサービス化されたランチャーシステムの設計はさほど難しいものではなく、各スタジオが容易にランチャーを構成し、そのランチャーで設定したWebアプリケーションの動作をトラッキング可能になっていくと考えるため、開発チームへの自動レポート生成や、バグ報告などの解析システムの構築、パイプラインを変更した際の制作効率の違いなどの統計的表示など、今までパイプライン構築後の主たる負荷となっていた内容に関して、親和性の高い環境が手に入る可能性も高いと予想されます。
しかしながらこれらは、CPUやGPU、または双方の計算カーネルの堅牢な動作と排熱管理などのメンテナンス面を過度に要求するパラダイムと言え、会合ではこれらの課題以外にもモデレータからは多くの問題提起を行いたいと考えています。サーバーサイド側へ処理が移行されていくなかで、アーティストたちによるサーバーへの大量アクセスが発生するこれらのシステムは、その負荷分散のための仕組み構築や、WebフロントのUI/UX面での試行錯誤や軽快な動作など、多くの課題を考えていくことになると思われますが、その安定した動作と変更のしやすい柔軟さがある設計の方針を立てていくことで、これらが「サーバサイドのプロシージャルモデリング」特有の課題として浮かび上がってきています。
クラウドインフラでのパイプライン構築などの基礎知識は、下記を参考にお願いします。
AWSを例にしたクラウドパイプラインの基礎
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_basic_cloudpipeline/index.html
クラウドインフラとマイクロパイプラインの詳細
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_phones_micro_pipeline/index.html
クラウドでのGPU利用入門
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_cloud_gpu/index.html
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