アニメとコミックの表現の違い
Differences in expression between animation and comics
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
このページは過去の会合を振り返りつつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
■概要
■Overview
近年、メディアミックス前提での制作が進むなかでは、原作コミックをもとにしてのアニメ化、ライトノベルからのコミカライズ(コミック化)とそこからのアニメ化など、媒体間の違いを意識しながら行き来をする、そのようなコンテンツの制作が制作現場に求められて来ることが増え始めています。
媒体ごとに向いた表現・不向きな表現も自然とあるで、各媒体でのアーティストによる表現手法の発展も活気があり、媒体間での表現手法の行き来に関しての課題も増えて来ているように思われます。
この資料では、まずはモデレータ二社でのスタッフレベルでの感触や、関係するパートナーへのヒアリングを進めた内容を徐々にまとめていくものとし、媒体間での表現手法の違いについていく際の取っ掛かりにと考えております。
2022年夏の時点では、ちょっとしたスタッフへのヒアリング段階でも課題は多いとモデレータ達は考えております。社内ピッチでの新しいスタイル開発や模索の段階での試行錯誤など、想いや発想の段階で実際に制作へ反映されていないものも数多く存在する印象で、CG技術の進展で少しづつ制作への活用も進む流れもあるなか、広く未踏領域感もある印象をアニメとコミック、はたまたメディア間を超えた表現やアイデアの展開には感じております。
少なくとも、現在のアニメ背景も次第に人間の手で描ける範囲を超えてきているという声も大きくなって来たなか、「アニメとコミックの表現の違い」は今後も大きな変化を必要としているテーマとなり得ていくと考えております。
2022年10月01日の会合では、これらの視点でも、参加者の皆さんと話し合いたいと思います。
クラフツマンシップとアーティストのテクニック特別編 20221001
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/crafts_20221001.html
メディアミックス前提での映像制作環境への考察
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_film_production_environment_premise_media_mix/index.html
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■映像化の際の自由度
■Degree of freedom when visualizing
原作者などの指定の範囲において、映像化する際の表現の自由度は作品により異なるものとなっております。ポリゴン・ピクチュアズのように、特定の原作者の作品を複数制作していくケースもある一方、スタジオの得意とする表現などを活かしての制作依頼などもあると思われるなか、単に映像化・アニメ化をしていくと言っても、近年では作品ごとに大きく自由度や前提条件は異なっていくものと思われます。しかしながら、毎回の制作において、各スタッフは様々なトライアルを実施しつつ表現手法を豊かにしていける場合も多く、同一作品の継続的な制作や、同一の原作者作品への包括的な表現手法の発展などを見込むなど、将来の制作を見越しての展開も視野に入って来るものと思われます。
そのため、過去作品で用いた表現手法のアーカイブ化や、リファレンス的に用いやすい管理体制の構築、新しいスタッフがそれらを学習しやすい社内教育用リファレンスの充実など、映像化・アニメ化へのプロセスを考察していくことにより、作品と共にスタッフやスタジオが育っていける環境作りは今後重要となるのではないかと思われます。
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■原作を読み込むことの重要性
■Importance of reading the original comics
この資料で順次取りまとめていく様々な視点において、原作を熟考していくことは制作上重要なプロセスであると考えられております。作品への理解を深めようとしてより適した表現を模索する、作品の良さを引き出す方向での新たな表現手法そのものを模索していく、映像として見た際の話の流れをつかみやすくしていくように、各ショットごとの表現のバランスを考慮し、制作時のイテレーションを進めていくなど、その重要性はあまりに大きいものと言えます。
それらの背景をふまえて、ショット全体を俯瞰しつつ、各ショットの表現上の手法を概観しつつ、その詳細を把握していけるサービスは重要と思われますし、制作中の作品で用いなくても将来へ向けて新たな表現手法をストックしていける、そのようなアーカイブ化もリファレンスとして用いやすい形態でまとめていくことが重要と思われます。それらは、その作品に関わっていないスタッフや新たに制作へ参加するスタッフ・パートナーへの分かりやすさも重要になるかと思われますが、近年のプロシージャル推進の視点においては、ここの表現手法の詳細の管理に関して、より良い連携とノウハウの貯蓄体制構築が重要となるかと思われます。
2022年4月に撮影したものとなります。現在、リモート化推進などの影響で社内のレイアウト変更が進められており、それらは下記で紹介する予定です。
リモートワーク推進と、オフィススペースの機能性
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_remote_work_office_space_functionality/index.html
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■ショットごとの情報の密度
■Information density per shot
映像制作の場合、近年では、背景アセット・人物アセット・FXアセットなどある程度何度も用いる前提でのアセット制作を通して制作を進めることが多いかと思います。その上で各ショットの詳細を詰めていく形になることが多く、コミックでの各カットでの表現に比べ、固定されてしまう範囲が増えていく傾向にあります。
最近では、プロシージャル推進やシェーダ側の柔軟性も向上したことによって、ショット単位で表現手法の調整をしやすくしていける傾向にあると思われますが、それでもコミックの方が柔軟性を持っている印象もあります。
コミックの制作も、近年では分業制など映像制作で馴染みのある制作体制を採用するケースも出始めていると思われますが、カットやショット単位での情報の密度の調整といった、表現上の自由度を扱う部分は、今後も大きな進展を発生させるのではないかと思われます。
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■異世界性など、リアルさを考慮した表現手法の開発
■Development of expression methods that take into consideration realism such as different
worlds
実写ベースでの表現手法を扱っていくことに比べ、異世界・ファンタジー・SFなどの側面などを考慮しての映像化の場合は、かなり広範囲に新たな表現手法を検討していけることとなります。映像化した際のムードの要因となるカラースクリプト一つとっても、その作品が目指す方向を掴めるよう全体のバランスを調整していくことは重要となるでしょうし、そこに基づき背景スタッフやエフェクトスタッフへより細やかな方針を示しつつ、そこから更に新たな表現を模索していける、そのような制作体制が今後重要となっていくように考えられます。
以上の視点から考えられる視点の一つとして、アートディレクションにより近付いたサーバーサイドサービスという視点が挙げられます。これらの視点は、過去のFPTSでの話題の多くをより高度に統合していくことの重要性を示唆しており、日進月歩となっているプロシージャル推進と並行し、相互作用的な発展を見越していくべきではないかと思われます。これらは今は大きな課題となっていないかもしれませんが、徐々に重要度を増す、そのような課題ではないかと、モデレータ達は考えております。
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■現代の多様化が急速に進む表現手法について
■About the expression method that is rapidly diversifying today
背景などのパートだけでなく、ここ最近のアニメ化作品の増加は、新しい表現手法やストーリーテリングのテクニックを育める大きなサイクルに繋がっているとモデレータ達は考えております。それらは以前の制作においての大規模化で生じた課題と多少異なる部分があると思われ、よりアート面での成熟さを意識した制作フローやそれを支える制作パイプラインの設計が重要となることへ繋がると考えられます。そこでは、ライトノベルからのコミック化・アニメ化など、メディアミックス前提での各メディアでの表現手法やストーリーテリングの手法や形式への理解が重要となっていくように思います。
しかしながら、権利関係が複雑化していく現代において、様々な販売形態・配信形態でリリースされている各作品を単純にリファレンスとして用いていくことは難しく、ダンスの振り付けや参照する写真などの著作権なども考慮した上で、いかに適切にその表現手法や形態の概観をしていけるか、これらは今後、映像制作スタジオにとっての大きな課題となり得るのではないかと、現段階では考えております。
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■他メディアでの表現を積極的に学ぶ意味で課題となること
■Being an issue in the sense of actively learning expressions in other mediay
3DCGでの映像制作は、次第に個人規模でも視野には入りつつあると考えられますが、現在はまだ、一定規模の制作資金とスタジオ無しには難しい側面があります。一方、ライトノベルやコミックなどは、個人やサークル規模での制作なども可能であることから、裾野が広く、常時様々なアイデアの行き来が商業メディア・非商業メディアなど、コミックマーケットに代表される多種多様な発展とともに、映像制作にはない活発な展開がサイクルとして発展していると思われます。これらは、映像制作でも特定のパートに関してのSNSなどでの交流などの形で多少はあるものの、成果物を映像作品と考えた場合、テクニック・スキル・ノウハウや開発技術などの交流が精一杯なのでは?というのが現状のようにモデレータ達は考えております。
一方、スタジオ内に着目してみれば、プリプロ工程においては、様々なアイデアの行き来により発展が確保していけている側面もあり、ライトノベルやコミックなど、映像以外のメディアの展開を参考に発展を考えていく場合、今まで以上に変革のサイクルが加速していけるのではないかと考えられます。
そこで発展への糸口の一つとなるように思われるのは、メディアミックス前提での映像制作パイプラインを考えていくこととモデレータ達は考えています。映像以外のメディアでの展開を整理しつつ仕組みを取り入れ変革のサイクルを模索していくこと、これらは、自分達への変革の糸口を模索していくにあたって、良案ではないかと現時点では考えております。
請負い型の制作として、原作ありき、方向性もある程度あるなかでの制作は慣れているスタジオが多くとも、自社IPとしての原作やまだアニメ化されていないコミックやライトノベルのアニメ化などを想像しつつ進めていくなど、実際には制作にまでは踏み切れなくとも、常に新たな表現手法を模索する意味で、映像以外のメディアにおいての発展を見つめていくのは成長に繋がるのでは、と考えています。
メディアミックス前提での映像制作環境への考察
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_film_production_environment_premise_media_mix/index.html
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■まとめ
■Summary
メディアミックスで様々なメディア特有の表現やアイデアの行き来が進むなか、「クラフツマンシップとアーティストのテクニック特別編
20221001」を前に、まずは「アニメとコミックの表現の違い」に関してヒアリングなどを進めまとめたものが本稿となります。
調査を調べ始めた現段階においても、表現上の課題や可能性・ITインフラとしてのパイプライン高度化で増す権利関係の複雑化問題など、単にアニメとコミックの違いを考えただけでも、今までと異なる視点でのアプローチが必要に思われました。
まずは「クラフツマンシップとアーティストのテクニック特別編 20221001」での会合にて、参加者の皆さんとディスカッションできましたらと考えております。
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