リモートワーク実施から見えて来た課題
Issues that have emerged from remote work implementation
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
2020年から猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響や、度重なる緊急事態宣言での対応に追われ、本資料の公開が遅れましたこと、参加頂いた皆様に深くお詫び申し上げます。
この資料は、過去のFPTSでの会合シリーズで頻度高く話題になった題材を元に、事後的な運用面での経験に即して発展しつつまとめていくことを目指し書き進めています。今後の、FPTS関係での会合でのディスカッションに役立てて行きたいと考えています。
2020年4〜5月に社内の全スタッフにてリモートワークを行った際の、第一印象を課題を交えて取りまとめ、2020年6月頃に書き留めた資料です。
公開が遅れましたが、古い資料となりますのでご注意下さい。
スタッフの様子を撮影した写真は、コロナウイルスが蔓延する以前に撮影されたものです。
■概要
■Overview
過去のFPTSでの会合では、遠隔からの作業環境やそこで求められる進捗管理、その上での制作面での効率性や柔軟性の追求などが様々なかたちで議題に上っておりました。新型コロナウイルス拡大への懸念により一斉に各社でテレワークへの移行が行われた中、実体験としてのテレワークを通して過去会合の議題を振り返り、解決しきれていない課題に関して少しづつ触れて参りたいと思います。
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■ネットワーク関連の技術に対して
■For network-related technologies
従来型VPNやゼロトラストネットワークなど、個々のスタジオにおいて採用しているネットワーク関連の技術は、過去会合でも多少話題に登っておりました。特には、案件ベースで要求事項が大きく変化する映像制作スタジオなどの現状に即して、その上でのスケーラビリティ追求や、MPAAガイドラインに即した運用体制の模索など、スタジオ単位での事情を孕みつつ、どのように今後のITインフラを考えて行くかがそこでは課題となっておりました。そこに加えて、自社以外のスタジオとの連携性を維持しつつ、オンサイトあるいはリモートの双方からのアクセスに対してどう考え対応していくかなど、込み入った話題も頻度高く会合では出ておりました。
しかし一方、今回のテレワーク実施に伴い、改めて、ITインフラとしてのスケーラビリティや、各種DCCの効率的な配備を行えるシステマティックな体制作り、社内外の双方でのデータの行き来の迅速性とセキュリティの兼ね合いなど、改めて過去会合での課題を再度考えて行く展開になって来たようにも思われました。
ZSccalerPA Client
ZScalerPA Admin Console
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■フルリモートでの制作体制に向かう際の課題など
■Challenges facing a full remote production system
今回のテレワーク実施においては、テレワーク実施以前に長年の映像制作でチームワークやお互いの信頼として養えていたことが功を奏していたように思われます。同僚とすぐにつながりを持て、自己学習を多く必要とする新人研修が用意に行えたテレワーク実施期間以前の蓄えが、今回のテレワーク実施においての円滑な実施に効果を発揮した部分は少なからずあり、仮にテレワークが長期化した場合などは、新人研修や自己学習の場の構築、セルフコントロールとしての自己鍛錬や体調管理の推進体制の確立など、テレワーク期間内に遂行し辛いと思われるこれらの課題と向き合うことが必要になるように思われました。
Git-Lab社のように、創業時からフルリモートでの運営を行えている企業の事例はとても貴重で、Git-Lab社のリモートワーク導入のためのガイドラインなどが多くの人に知られております。
今後重要になると思われる「オンサイトとリモートの切り替えが容易な制作体制の確立」などを検討して行く際に、映像制作スタジオとしては、これらの資料を参考にしつつも、大規模制作ならではのITインフラの要件面での課題と、今まで以上に向き合っていく必要性があるように思われました。
高度化する要件と、社内での成長の持続
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_advance_requirement_sustain_growth/index.html
Git-Lab - all remote
https://about.gitlab.com/company/culture/all-remote/
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■長期運用のシステムの運用面での課題
■Issues in the operation of long-term operation systems
映像制作では、スタジオ内や制作上のパートナーで閉じた利用を行う前提の内製ソフトウェアやWebサービス、各種ITインフラのための管理システムなどの様々なシステムが混在されて稼働する傾向にあります。各スタジオの文化を反映したそれらのシステムは、ユーザビリティ含め、スタジオ内や制作上のパートナーに深く馴染んでいるシステムとして育成され続けているため、リモートワーク下でも、当然のようにこれらに対してのアクセスを検討して行くこととなります。
長期運用のシステムに対してオンプレミスのサーバーの外からアクセス可能とさせる上で、ゼロトラストネットワークの活用はコロナウイルス拡大への懸念に伴うテレワーク開始以前から、既に馴染みある技術となっておりました。しかし一方、スタッフの全てがテレワークでの利用を行うなどの経験を有していなかったため、実運用ベースでスケーラビリティを維持させたまま稼働させて行けるかなど、始めての経験故の試行錯誤感はどうしても出てしまったように感じております。今回、この資料を書いている時期は、関東圏での最初の緊急事態宣言の解除の時期となりますが、次回、似たような事態が起きたことを想定しつつ、それらが長期化した場合に備えてのシミュレーションに関しても、今後行って行く必要性を感じましたし、自社のセキュリティチェックに対する自動化なども、今後は全てのスタッフがリモートワークする前提で進めていくことが必要と思われました。
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■ドキュメンテーションの重要性
■The importance of documentation
テレワーク/リモートワークを推進している多くの企業が常に話題にされていることの一つが、ドキュメンテーションの徹底や、情報共有の迅速性の確保ではないかと思われます。各種scriptの実行環境を含め、簡易テストや自動化された各種サービスの操作画面なども、これらのドキュメンテーションの際には容易に参照可能にアーカイブして行くことも求められ、制作時に即座にドキュメンテーションのための作業画面などにアクセス可能にしていくことも、「オンサイトとリモートの切り替えが容易な制作体制の確立」の上では重要になって行くのではないかと思われました。
また、そこに付随して、スタジオとしての内製機能などのように、商用ソフトウェアに比べドキュメントが手薄になりがちな機能に際しても、今後は徹底したドキュメンテーションの充実と、オンサイトとリモートの切り替えを行いつつの制作にも耐え得るドキュメンテーションの推進など、スタジオ内のトランスレーションチームとの連携性(*1)も踏まえた上で、改善していくべきと思われました。
(*1)ポリゴン・ピクチュアズでは、Translation Teamが様々な翻訳を行い、制作全般を支えて下さっております。
RemoteDesktop w/ PPixel
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■制作上の部署に合わせたリモートワーク環境の課題
■Challenges of remote work environment according to production department
今回の2020年4-5月に実施されたポリゴン・ピクチュアズのスタッフ全員でのリモートワークでの制作の際は、各アーティストの部署ごとに細かくリモートワークに用いるソフトウェアなどの調整を行い、オンサイトでの映像制作のフィーリングを極力失わないように意識しつつ、運用しつつの細かい改善を行いながらの稼働を行ってまいりました。これらは、本来であれば、簡潔に構成した方が良かったというシステム面での葛藤と共に、現状可能な改善をと考え進めたシステム上の構成ではありましたが、今後は、同様の事態での制作が更に長期に必要になることも想定し、リモートワーク環境そのものの課題の洗い直しといったプロセスも、開発と制作で話し合いつつ考えていく必要性を感じました。
これらの背景では、映像制作上、クリエイティブな感性を発揮する上でのルックやフィーリングを内製機能開発でも重視しているということも存在し、通常の企業と違い、クリエイティブ性に重点を置いた制作に最適なリモートワーク環境の模索なども、今後じっくりと取り組んで行く必要性を感じました。
Teradici PCoIP Client
Teradici PCoIP Clound Access Manager
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■大規模通信の軽減などの課題や、システムとしての省エネ化、省資源化
■Issues such as reduction of large-scale communication, energy saving as a system, resource
saving
今回の新型コロナ対策としての、国内一斉でのテレワーク推進が行われたなか、ネット利用が急激に拡大したことに伴ない、ネットのトラフィックが増大し、インターネットへの接続速度のダウンや接続障害、そういった様々なものが生じたというニュースを数多く拝見することとなりました。単純に考えても、動画配信、オンラインゲーム、リモートワークのための各種通信、新型コロナウイルスの状況を知る上での大量の検索や各種調べ物など、ネットワークへの負荷はかなりのものになっているのではないかと思われました。また、そこに加えて、今回のスタッフ全員でのリモートワークによる制作では、映像制作でのシステム稼働に対するエネルギーの消費も増えていく傾向にありました。
このような背景の中、制作に必要な通信負荷の削減やそもそもネットワーク上で行き来させて行くデータ容量の削減など、大規模アセットを扱うことになる映像制作ならではのネットのトラフィックへの影響への軽減策なども今後は考えないといけないと感じました。
ポリゴン・ピクチュアズでは、多く通信はオンプレミスのストレージと計算クラスター、そこに対するアーティストのワークステーション間で行われるため、PB級のストレージでの映像制作ならではの大規模アセットの通信と言えど、その多くはオンプレミスのサーバー内で行われることとなります。しかしながら、海外にある支社と通信やパートナー各社との通信では時折、大容量データの通信が必要になって行くことが日常であり、今後は、それらの通信に関しての通信量軽減策や大規模アセットの在り方の見直しなどの模索も必要となるように思われました。また、これらに関して考えて行く際には、システム全体で必要な稼働時のエネルギーなども制作フローとともに見直して行く必要を化感じる結果となりました。
制作システムとしての省エネ化の課題
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_energy_saving_production_system/index.html
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■コミュニケーションのための自動化推進
■Promote automation for communication
リモートワーク下での対話は、細かいニュアンスまで交わした上でのコミュニケーションにまだまだ難しさが残る。これは今回のリモートワーク実施時に痛感した事柄でした。クリエイティブ性の高い制作を扱う映像制作の場合、大人数でのこれらのコミュニケーション上の課題は深いものと思われましたし、そこに対して今後は対策を練って行くべきとも思われました。
しかしながら、近年推進して来た各種自動化による機械的な生成によるカタログ化は、遠隔地に居る各スタッフに客観的指標を持っての画像を列挙出来、遠隔地間での各スタッフが、具体的にこれらの画像を指し示しつつ対話して行くことが可能であれば、コミュニケーションへの支援として、非常に良いのではないかと思われました。
ここでは、自動化による生産性向上という意味での効率化とまた違った側面での、自動化推進の意義が感じられ、アートディレクション上の客観的指標を与える意味でも、映像制作上では、有用ではないかと思われました。
一方、これらを支えるのは、大規模制作全体を支えて行く上での計算クラスターの構築やその運用体制の向上となるため、今まで以上に、サーバーサイドでの計算性能拡充と、操作性の向上を、スタジオでの文化に合ったかたちで目指して行くことが重要に思われました。
大規模アセットとカタログ化
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_phones_assets_catalog/index.html
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■まとめ
■Summary
ここでは、2020年4-5月に社内の全スタッフにてリモートワークを行った際の、第一印象を課題を交えて取りまとめました。これらの感触は、第一印象の様子を感じたそのままに残すことを目的としており、考えとしては練られていない部分も多いかと思われます。
しかしながら、これらの第一印象を感じたそのままに残して行くことで、事後的に参照しつつ、今後の映像制作パイプラインの改善へと繋げたいと思います。
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