サーバサイドへの移行とその現状
Transition to server side and its current situation
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
この資料は、「映像制作パイプラインとアーティストのテクニック 6」での内容を簡潔にまとめたものです。会合を振り返る際にご参考にお願いします。
■概要
■Overview
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■サーバーサイドでの展開
■Server-side deployment
VDI(Virtual Desktop Initiative), RDP(Remote Desktop Protocol)など、IT系で十分に実績を積んで来た各種技術での利用も紹介された中、想定以上にJupyterの事例も増えている形になり、Webブラウザ経由でのデータハンドリング、HoudiniなどへのRPCでのネットワーク越しの操作、などなど、特に研究開発に近い部署の参加者ほど、取り巻く環境を変革しつつ進めている印象がありました。
世界的にもフルクラウドへ向かう傾向もありつつ、プライベート/パブリック双方のクラウド併用での展開も以前増えており、一方でオンプレの自由度を活かせる形でパブリッククラウドとの付き合い方を模索しているスタジオなどもあり、まさに多様な展開で、個々のスタジオの目指す市場と、スタジオとしての個性の展開が強く見られた会合になりました。
その中で共通して見られたことが、「サーバサイドでの開発への移行」という側面であり、プライベート/パブリック双方のクラウドという形態上の違いはありますが、これらの傾向は大規模制作を行うスタジオほど顕著になって来たように思います。
・Jupyter
http://jupyter.org
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■標準化としての様々な技術
■Various technologies as standardization
Pixar社のUSD(Universal Scene Description)や、VFX Platformなどへの意識は勿論のこと、DCC間のデータ伝達とスタジオ間でのデータ伝達など、エンターテイメントを取り巻く各社での連携性はアウトソーシングでの対応性も考え、大きな流れになっているのは確かではないかと思われました。
・Pixar USD
http://graphics.pixar.com/usd/docs/index.html
・VFX Reference Platform
https://www.vfxplatform.com
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■汎用的なIT技術への関わり
■Communication with general-purpose IT technology
現代的なITインフラ技術への活用や、機械学習/深層学習など多分野で広く用いられていく技術への対応が今回各社で紹介されていました。CG特有の技術という側面から、CGを含むIT技術全般への視野の広がりは顕著になり、それに伴う各社のエンジニアのスキルの範囲の広がりと高度化といった、CGに関わるエンジニアのスキルそのものの鍛錬などの変革も今回の会合ではディスカッションされていました。
この「CGを含むIT技術全般への視野の広がり」は様々な意味で旧来のエンターテイメントに関わるCGのエンジニアにとって自身のスキル面の変革を要するものと言えるかと思いますが、想定以上に各社柔軟に対応を進めており、これらの変革は着実に進んで行きそうな気配が強くありました。
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■映像制作とゲームの開発上の違い
■Differences in the film production and game development
実機(コンソール機など)を意識した開発が制約として存在するゲーム開発という視点からは、今回の会合での映像制作方面のインフラやパイプラインの展開は、目新しさを伴って様々な関心により議論の活発さを生んでいました。
しかしながら、会合中の参加者の意見の中では、計算機の資源を限界まで引き出す、集団で制作あるいは開発を進めていく、などの観点から、映像に比べゲーム分野での開発の先進性も強く意識されたものも多く、モデレーター達自身も、総スタッフに対してのエンジニア比率の大きいゲーム開発領域での先進性を、強く意識し今後につなげて行きたいと思いました。
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■プロシージャル化の流れ
■Towards proceduralization
映像制作、ゲーム開発ともに、プロシージャル化への課題の多くは共通した課題として考えられることが多かったように思います。課題の多くは、全てをプロシージャルに考えていくことも重要ではある一方、多くのユースケースの最後では人間の手で調整などを出来ることが重要と考えられており、そのプロシージャルなパラダイムを、プロシージャル化の際に個々のスタジオや開発プロセスの中にフィットさせて調整していくアプローチが多かったように思います。
アセットアッセンブルやアセット管理に対してのプロシージャル化の推進も進んで来ており、ある特定の題材でのプロシージャル化が難しいというよりは、ワークフローへフィットしたかたちでの創意工夫こそ、現在の最重要課題ではないかと参加者間でディスカッションが行われていました。
また、映像とゲームでのワークフローや最終的なアウトプットにおけるコンテンツの性質に違いはあるものの、アセット制作の工程においては、映像制作とゲーム開発との間で比較的共通してディスカッションできる話題として発展していける可能性も感じられ、これらは今後の会合でも随時取り上げて行きたいとモデレーター達は考えております。
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■CG特有の技術から、広くIT全般への技術へ
■From technology specific to CG to technology for IT in general
今回の会合では、通常のCG関連の制作や開発では扱って来なかった様々なツールや理論に関して積極的な導入へのトライアルが多く見受けられました。
RPCなどを扱ってのデモもあった一方で、Webブラウザ主体での操作性の追求、VDIなどの汎用ソリューションなどでの運用なども紹介されており、機械学習など今話題の技術を制作や開発に取り込んでいこうとした結果なのか、CG以外の多くの分野への関心が、今回の参加者から強く感じられました。
CG分野でよく使われるOSSももちろん依然重要ではありますが、CG分野で普段用いないライブラリの導入などをサーバサイドでの機能拡張などに用いていくなど、CGに限定しない、広い視点での開発が今後も重要になっていくと思われました。
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■科学技術計算などへの意識
■Turning consciousness to scientific computing
機械学習や深層学習など、AIとして機能を自社に取り入れようと各社が取り組んで来た結果、そこには自然に科学技術計算などの各分野の知識が混ざり始めたように思えます。その適切な運用のために自社の技術レベルを今後大きく伸ばしていかないといけない、そのような意気込みを感じさせるような取り組みが各社あったように思われました。
CG特有の知識を中心に見ていた過去とは違い、IT全般での自社の拡張性や発展性を意識した取り組みが増えた反面、今後はその適切な運用への社内のスキルアップやリテラシーの向上など、今までにない課題が徐々に増え始めていくそのような予感や雰囲気もあるように思われました。研究開発のスタンスそのものの変化の時期なのかもしれないとモデレーター達は考えています。
求められていく研究開発のスタンスの変化
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_phones_rnd_stance/index.html
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■モデレーター自身の視野を超えた展開など
■Expansion beyond the perspective of the moderators themselves
今回の会合ではゲーム分野からの参加者の増加が顕著になって来ており、映像分野での開発対象も「CGを含むIT技術全般への視野の広がり」を通して広範囲へと変化して来たように思います。
このセミナーは一般的な映像系の制作セミナーのうちのひとつにすぎないものではありますし、モデレーターである二社のITスキルもさほど高くないことを考えて行くと、モデレーターが講演者の全ての知識の範囲を理解し進めて行くことは今まで以上に困難になって来ており、モデレーターもそのモデレートを行うスタンスなどへ変革を必要とする印象を持ちました。
一方で、我々モデレーターは、モデレーターとしてのスキル面での限界を真摯に受け止め、この「A Film Production Technique Seminar」以外の様々な同様のセミナーが各地で独立に開催されていくことが業界として良い展開であると再認識を行い、また、業界としては、映像とゲームの国内外の開発事情に詳しい、そこに加えて学術機関などとも常に行き来のある、そのような人材が業界には必要なのであろうと今回も強く感じました。
しかしながら今後も、モデレーター達の考える重要なトピックを常に特集し、小さいながらも、少数でディスカッションを進めて行く今回のような会合の重要性も再認識し、モデレーターなりになんとか今後も運営を続けて行きたいとも思いました。
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■本セミナーシリーズ以外でのセミナー企画の重要性
■Importance of seminar planning outside this seminar series
ゆったりとしたディスカッションを行なっていく意味では、今回の会合での参加者数、および規模が限界であることも感じられました。また、モデレーター達で企画出来る内容もモデレーター達の保有スキルに依存しますし、一定のセミナー企画面での限界も今回は見えて来たように思われます。
本セミナー「A Film Production Technique Seminar」以外のセミナーとして、今後も世界各地で存在する映像系セミナーが増えていくことは良い展開ではないか、改めてそのような当たり前の事実を強く感じた会合となりました。
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