研究開発と制作面で検討すべき拠点分散というアプローチ
Approach of decentralization of bases to be considered in R&D and production
(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ / スタジオフォンズ)
(Polygon Pictures Inc. / Studio Phones)
今後の会合の状況を見つつ加筆修正を含めブラッシュアップを進めていく予定です。
基本的に、過去会合参加者との事後的考察を行う上で、気付いた事柄を記載した段階のものです。そのため完成度は高くありませんが、ご容赦いただけましたらと思います。
■概要と拠点分散の重要性について考え始めた経緯
■Overview and how we started thinking about the importance of decentralizing bases
新型コロナウイルス拡散防止においてのテレワーク・リモートワーク推進は世界的な規模での変革を進める要因となっているかと思われます。災害は、COVID-19のようなウイルス起因のものだけでなく、自然災害、日本では意識は低い印象はありますが、911に代表される物理面やサイバー面での脅威の増加と複雑化など、情報は集約しつつも物理的拠点を如何に分散し、未来の脅威やリスクへの回避性を考えていくかは、映像制作に限らず大きな課題となっているように思われます。大地震・津波・大型台風・河川の氾濫・原発の事故・電車の脱線・飛行機の建物への突入、大雨による地下・地下道への浸水など、この二十年だけでも、新型コロナウイルスに限らず、我々はその脅威を実感することとなったかと思われます。
しかし同時に、生活レベルにおいては、地域の急速な発展による地価高騰(スタジオやスタッフの居住地確保の難度を生む)、超大型娯楽施設やIRなどの巨大施設など影響力の大きい、何かが起きた際の地域全体の変化(クリエイティブな作業がし辛い喧騒状態に陥るなど)、(災害や都市・地域での影響などによる)半導体や特定物資などの不足や生活資材の急激な価格上昇(安定した共有がされなくなることでの生活や制作基盤の不安定を招く。例えば2021年は半導体不足が世界的に進み、特殊な半導体を多く使う場合は入手困難に繋がった)、超高層オフィスなどの火災・倒壊や大規模な事故などによる影響(電力不安定性や、危機状態からの脱出自体の問題、主要スタッフが一度に被害に合うことでの制作面での影響)など、現代社会で我々が懸念すべきポイントはあまりに増えて行く事態も見受けられ、そのような脅威を想定して全体を設計して行くことの困難が、年々規模の大きいものとなって行くように感じております。そこでは、クラウドサービスの利用においても重要な観点となり、複数の拠点でのデータの冗長化体制の確立、特に国外サーバーと国内サーバー双方を扱う際などの検討事項の複雑化は、「情報集約と拠点分散、冗長化などによる頑健性獲得」といった、一つの大きな課題をシステム設計・スタジオ体制のデザインに突き付けて参ります。
そこに加えて、テレワーク・リモートワーク実施により働き方における多様性確保や、故郷に戻って仕事を続ける・育児と仕事の両立・通勤においての負担や負荷の軽減、ダイバーシティ性推進のしやすさなど、個人単位でワークプレイス確保を進めることにおいてのメリットの大きさはその課題を認識しつつも、魅力を高めて行く一方となって来ているのではないかと思われます。しかし反面、個人の活動拠点として、スタッフの数だけ活動拠点が分散し、その情報集約をスタジオとして安定的に稼働させて行く上では、サイバーセキュリティ面での脅威だけでなく、個人の活動拠点を起因とする様々な脅威を考えて行くこと無しには、昨今の報道で豊富に事例が示されている通りの様々なスタジオ・企業としてのトラブルを招くこととなります。
本資料では、研究開発と制作面で検討すべき拠点分散という点にフォーカスを当て、システム面や制作などの実施体制面、活動拠点が個人レベル・コミュニティレベル・地区レベルで分散して行くことで検討すべきと思われる事柄に関して、少しづつですがまとめて参りたいと思います。
モデレータ達は社会システムや災害などにはもちろん詳しくなく、あくまでも我々の視点で気になった事柄を中心に記載していきたいと思いますので、ご自身で調べていただきつつ検討する際の参考にして頂けましたら幸いです。
建築、BIM、都市計画方面で気になっているシステムやミドルウェア
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_system_middleware_architecture_bim_city/index.html
ワークプレイスの多様化に関する課題
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_workplace_diversification_issues/index.html
リモートワーク推進と、オフィススペースの機能性
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_remote_work_office_space_functionality/index.html
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■拠点分散の魅力(生活面での多様性面)
■Attractiveness of decentralized bases (diversity in terms of life)
スタッフ個人が自分の趣味・好み・生活水準の設定・家族の家庭との距離など、自身の状況に見合った拠点を確保しやすくなる点は非常に魅力かと思います。もちろん、住う場所や同居人によっては、テレワーク・リモートワークの際のセキュリティは確保し辛くなる側面もあり、家庭のネットワークを利用する場合は、同一のネットワークを用いるならばのリスクなども考慮し拠点を確保することは重要になります。拠点に対する災害も含め、自身の判断でハンドリング可能な部分と、スタジオ内の責任者と相談し決めて進めるしかない部分なども生じてしまうため、一定の難度・障害は発生しがちな状況も十分にあり得ます。しかしながら、そのデメリットや負担を補う魅力がそこにはあると思われます。スタジオとしても優秀で経験豊かなスタッフが何らかの事情で離職してしまうなどの事態を防げることもあるため、スタッフ自身の生活様式や事情にあった拠点確保は、スタジオとしての強化に強く繋がることにもなります。
一般によく言われるように、リモート下でのスタッフの勤務評価やスキル把握などの仕組み作りはスタジオ側にとっての負担とはなりますが、それを補って余りあるメリットがあると考え、現在試行錯誤しつつもそのような環境を構築しようと努力しているスタジオ・企業は多いのではないかと考えております。
大学などでの学び直しと仕事の両立をして行きたい、一時的に海外スタジオなどでの勤務経験を培いたい、副業を交えつつスキルアップの期間を確保したいなど、近年の様々な企業で進められいる変革もこれらの拠点分散の魅力の一つでもあり、長期的スパンで経営・運営をしているスタジオ・企業ほど、これらの面での改革は、今後の重要な変革の一つと言えるのではないかと思われます。
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■拠点分散の魅力(システムのリスク分散や頑健性という側面)
■Attractiveness of base distribution (Aspects of system risk diversification and robustness)
ある特定の地域・地区に何か全てを集中させることのリスクは、911以降も首都機能の分散などの大きなレベルだけでなく、サーバーの設置場所確保やCDNなどの冗長化など通信・データ管理など、様々な側面で意識して回避に努めるべき課題に思えます。CDNやクラウドサービスの障害でスタジオ・企業のシステムインフラが一時的に使用不可になることもある上、社会インフラとしての交通手段のトラブルが起因でのスタッフ集合時のトラブル回避など、システムにおいてのデータ移動だけでなく、スタッフやパートナーなどの人員移動などの側面でも、重要な課題となっているように思われます。現在のITインフラは、コンテナ技術の普及などの背景もあり、比較的物理的な拠点に依存せず制作・開発の環境確保が行いやすいという状況にありますが、データ・スタッフなどの人員・サテライトオフィスやコラボオフィスなどの活動拠点などの分散を図ることで、システムとして、また人的な意味でのチームとして、頑健に機能する体制模索を行いやすくなって行くと考えられます。
国内では意識が薄いものの、テロなどの標的になりやすい建物・施設などを把握し拠点分散などを考えて行くことは、海外ブランチを複数確保して行く傾向にある現在の映像制作スタジオとしても、次第に重要となって来る視点ではないかと思われます。例えば、クーデターやロックダウンなど、自宅からの移動が出来ない状況も増えて行くのではないかと報道でのロックダウン法制化の話題などを見つつ思いますが、時期時代に応じて制作体制を柔軟に組み替え対応し得るシステム・スタッフの体制作りについて考えて行くことは、拠点分散という方向での様々なアプローチを模索して行くことへの重要性と繋がるように思われます。
新型コロナウイルス蔓延での状況では、パートナー先のスタジオが、ロックダウンなどで活動が停止し、サプライチェーンが機能しないなど、社会問題化した問題も多いことと思われますが、例えばある地域を支えるCDNがサイバー攻撃で停止する、その結果、ある地域のサーバーへアクセス出来なくなるなど、今後検討して行かないといけない課題に対して、拠点分散性確保は重要となって行くこととモデレータ達は考えております。
少なくとも国内でもロックダウン法制化などの議論が進んでいる以上、基本的に自宅から動けないスタッフに制作・開発上の環境を如何に提供して行くかなどはスタジオとしても重要課題となり、日常的に制作・開発などの拠点分散を含め、データ保管の冗長化(サーバー設置拠点の分散)、CDNや通信経路の多様性確保(通信基盤の分散・冗長化)、サテライトオフィス・コラボオフィスからの迅速な移動性(スタッフの活動拠点を迅速に移動出来る工夫)など、拠点分散は重要な課題ではないかと思われます。
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■理想としての「スタジオのクイックムーブ」
■"Studio quick move" as an ideal
瞬間移動可能な装置などの開発が進めば話は変わって来そうには思われますが、現代ではまだまだ、スタジオの変形や移動を如何に高速に柔軟に行えるよう進めて行くかは拠点分散を進めて行く上でも重要な課題に思えます。そのため、様々な地域にてスタジオを実現する意味での柔軟性や、移動が必要になった際に迅速に移動し得るシステム基盤について考えて行くこととなります。もちろん、一定の地域に定住して、その地域の文化と親しみ、地域の活性化の面で配慮した行動を考え、その上で、スタジオと地域の結び付きを強めていけるなら理想だと思われるのですが、昨今の都市の変化は急激かつ規模の大きい変化を起こす点は無視出来ず、自然災害だけでなく、経済・産業上での変革で街が急速に変化することも多いため、本当に理想なのではないかと思われます。関東でも、急激な人口増加で電車の改札を通るために費やす時間まで増加するなどの報道も過去にありましたし、インバウンド需要で地域の市場や店舗がそこに特化する方向で変質してしまう、観光地的発展で地域の文化がより世界各国の来訪者を受け入れて行くように変質するなど、理想を追求したい想いとは裏腹に、地域が一定の文化を維持し得るとは中々考え辛い時代に入ったと考えられます。
例えばポリゴン・ピクチュアズのスタッフの中でも、下町が好きで、古民家を改修し生活するなどを推進するスタッフも居ます。場合によっては、地域の空き家対策の対象となっている建物に入居し、周囲の改善をスタッフが集まることで進めることも理想としては考えられます。しかしながら、故郷納税で故郷の発展を願いつつもその故郷が街並みや文化・住民の生活そのものが変質してしまうこともあることと同じで、変化があまりに大きい現代では、期待したい気持ちもあるなか、なかなか難度が上がり続けている理想のようにも思えます。
このような考察を経て考えられるスタジオのクイックムーブ性の推進は、人材流動性の高い現在の映像制作スタジオとしては、まだ現実味のあるアプローチであるように思えます。ある土地に根付きそこで文化形成の循環に深く加わりたいという気持ちはあれど、IT面での変革の影響も大きい現代においては、なかなか計画し辛い部分が残ります。税制優遇で、海外拠点の新設・閉鎖を繰り返すことが続いたこの業界ではこれらの流れも視野に入れつつ、今後の技術推進の上で、どうこれらの課題について考えていくべきか、会合企画の上でも題材として参りたいと思います。
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■住環境面でのクイックムーブ
■Quick move in terms of living environment
報道を見直しつつ考えただけでも、可能な限り迅速に住環境や拠点を移動することが必要になる、迫られることや、中期的に引っ越すしかないかと考えざるを得ない状況は、検討が必要な程度に存在するように思われます。自然災害で地域一帯に変化が出る、火災などで建物そのものに支障が出てしまう、短期間に超大型商業施設やタワーマンションが立ち並び電車などの混雑や地域の物価上昇などの問題が出てしまう、閑静な地区だからこそクリエイティブな作業に向いていたにも関わらず急速に街が変化し喧騒の真っ只中に置かれてしまう、数少ない商業施設が閉店し生活の便を含め支障が大きくなってしまう、建物の老朽化問題や近隣のビルの廃墟化により治安・安全の面で問題が出てしまうなど、列挙するなら枚挙に遑がない状態になるかと思います。
そこに加えて、子供の通学面や配偶者の仕事先などの都合や介護などの対応などによって、引っ越しを考えることになることになることは往々にしてあるようにも思われます。
そのような事態になった際に、現在のテレワーク・リモートワーク推進は、一つの解決の糸口として重要になると考えられます。一時的(数年単位や月単位)に拠点となる住宅を移動したり、そこでもサテライトスタジオやテレワーク・リモートワークなどの対応が出来たりする場合は、スタッフの生活として、かなりの柔軟さを生むかと思われます。
そのため、今後はサテライトオフィス形態でのみサポートを進めようという感じではなく、設備としては個人単位でのテレワーク・リモートワークを可能としつつサテライトスタジオ形態でも運用可能な形態の模索など、柔軟な対応を行えるような体制模索が重要になるのではないかと思われます。その上でサテライトオフィスの効率的な構築を考えていく場合、一つのキーワードとして、サテライトオフィス構築キットなどの、モデュール化を進めたアプローチも考えられるのではないかと思います。現段階ではあくまでも可能性に過ぎないですが、古民家などの利用も見据えてキット化などを含め、今後の会合での企画に反映出来ないかとモデレータ達で考えております。
サテライトオフィス構築キットの検討について
準備中
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■高速回線前提での環境からの、拠点分散のリスクに関して
■Regarding the risk of base distribution from the environment premised on high-speed internet
lines
今回の新型コロナウイルス拡散防止の推進中においても、日常的に用いているネットワークのトラフィック急増による影響は様々なトラブルを巻き起こしたことと思われます。クラウドサービスの障害も増え、アクセス集中でのシステム負荷も増えるなど様々なことが起きたかと思われますが、高速回線前提での体制をスケールさせるなどの対応は急には出来ず、また出来たとしても急激なコスト面での負担を強いられ、低速な回線での停滞なども深刻化しやすく、回線そのものの混み合いやその前提でのサービス運用での負荷は、無視出来ない程度には存在したように思います。
特に、スタジオやサテライトスタジオでは高速で安定する通信回線が確保出来ていることが多いため、その前提でスタジオ内の体制を築くことが多々あります。しかしながら、急に低速な回線での環境に拠点を移すこととなったり、回線が混み合い支障が出やすい環境しか拠点として確保出来なかったりと、様々なケースで高速回線前提の体制からの移行は意外な課題を制作・開発体制に突き付けることになります。このような様々な変化を見越して日常的に体制模索を行うことが、今後の変革の上での重要な側面となるような感触を持ち始めております。強いて言えば、低速な通信回線でも安定的に稼働する、そのような制作パラダイムへの移行が一つの対策になるのではないかと思われます。既にモデレータのうち一社は、そのような回線安定性の見込めない状況下での制作体制実施を始めており、その状況から得た課題などは、今後の関連資料でも触れて参りたいと思います。
低速通信環境や通信不安定な環境での制作パイプラインの課題に関して
準備中
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■拠点分散上の課題(コスト算出や会計システムなど)
■Issues related to base distribution (cost calculation, accounting system, etc.)
同一国内であればまだしも、複数の国に拠点を確保する傾向のある昨今の映像制作スタジオでは、共有されたコスト算出体系などをサーバーサイドサービスとして実現していくと検討した場合に、会計基準の統一化か個別システムの適切な連携なども検討することとなります。その背景には、最終成果がデジタルデータである以上、クラウドのどのリージョンのクラスタを用いると安価に収まるかといった計算だけでなく、スタッフの給与体系の客観的把握、福祉にかかるコストや制作費としての各種経費の算出などを、プロジェクトごとに知事評価し最適な形態での制作体制確立を瞬時に行うなどの必要性が生じます。新しいアイデアで制作をす進める場合であるほど、かかるコストを抑えつつトライアルを重ねていくことは重要となり、社内ピッチ制度などもシステム上で体系的に構築など模索していく場合においても、最終決定を出す担当者が冷静に意思決定していくための基盤確立という意味でも、今後重要かつ、難度を高めていく傾向のある課題になるのではないかと思われます。
映像制作インフラとMPAAベストプラクティス
https://a-film-production-technique-seminar.com/fppat/materials/ppi_infrastructure_mpaa/index.html
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■拠点分散を経ての展開に関して
■Regarding development after decentralization of bases
モデレーターのうち一社は、長年、拠点分散前提でのパイプライン整備とITインフラ構築を経て稼働しつつ現在に至りますが、そこで見えて来た課題として、急速にテレワーク・リモートワークが社会的に広がる中での対応として、2020年4月の段階から幾つかの変更を自社パイプラインに行っています。現段階では、まとまった形でこの関連資料に書ける段階ではないので触れませんが、分散型ネットワーク前提でのパラダイムシフトを経ても課題は大きく存在するという認識の元、そこがゴールではないのではないかと、モデレータ達は考え始めています。しかしながら、分散性を高めていくという方向には変化せざるを得ない部分もあると考え、その上での拠点分散への在り方の模索が必要かと、考え始めた段階にあると思われます。
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■都市の文化の均質化(この資料の甘さへの現状認識)
■Homogeneization of urban culture (current awareness of the sweetness of this material)
「拠点分散の魅力(生活面での多様性面)」にて述べたメリットは多少の希望的観測のもとでまとめましたが、今後生じ得そうな変化としては、多くの企業が拠点分散にて従業員の居住地の自由度を確保していく場合、一つの地域に多くの人が集まる形で成立した文化が維持し辛くなる・地方に現在の都心部の文化が急速に持ち込まれ地域差がなくなっていくことが挙げられるように考え始めています。
現代に用いれる技術は一定となりますし、その上で成立するビジネスモデルもまたある程度違いのないものになる可能性もあり、多くの地域で共通の事業展開をもって地域の開発が進む部分も多いとも考えられ、どの地域にもあるカフェ・ホテル・商業施設・店舗・駅舎・地下道、そして比較的多くの人を対象とした意匠や価格設定など、多少は地域に特化して展開されていく部分はあれど、文化面での違いはなくなっていくのではないかとも想像しております。特に現代のように、急速に移住を始めるなどの展開を考えた場合、その需要にテンポよく対応し展開する中では、あの街でうまく行ったモデルをこの街でもと展開する部分は少なからずあるのではないかとも考えられ、結果的に、街の個性や地域の文化は、多くの部分で類似性を持った展開に入ってもおかしくないのではないか、あくまで想像とはいえ、現段階では検討すべき視点としてそのような視点があると、モデレータ達は考えております。
そのため、「拠点分散の魅力(生活面での多様性面)」にて述べたような、スタッフが自身の趣味や好みで選ぶことのメリットが、長期的には維持出来る地域というのはどの程度あるかわからない部分があり、メリットが本当にメリットとなるかは不明な部分もあるのではないかと考えております。
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■都市や地域に波及していくIT面での技術革新
■Technological innovation on the IT side that spreads to cities and regions
各国事情や地域事情により受容形態に違いはあるとはいえ、IT面での技術革新の多くは、日常生活や業務形態へ様々な影響を及ぼしつつ受け入れられて来たことと思います。例えば、省エネ化推進やクラウド気技術の進展で昨今の映像制作スタジオの拠点で必要な電気容量は減っており、拠点となる建物への要件というのも、年々変化していく状況にあります。通信・セキュリティ・省エネ・計算技術の進歩など、設備上考えざるを得ない要件は変化を続けていると言えるかと思われますし、拠点に求めたい部屋の間取りや開口部配置やコンセントなどの配置なども含め、一時的に必要な要件は定まれど、長期で必要となる要件を定めにくいこととなります。研究開発を進める以上、推進性が高いと思えば都市を移動し拠点を再配備することとなることもありますし、現在のフォーメーションが長期的に効果的とは限らないという前提で、各拠点の設計を考えていく必要もあります。場合によっては、通信は不安定だが他の面でメリットが多いと拠点を配備することになる地域もあると思いますが、そのような場合は、可搬性に富むオンプレミス利用での小型クラウドなどを検討することも重要となりますし、拠点分散ツールキットのような対応も考え、拠点の検討を進めることとなります。
これらの背景により、都市や地域に波及していくIT面での技術革新は無視出来ないことと考え、常に拠点分散と拠点移動を念頭に置き、効果的な再配備を可能とする体制模索が重要なのではないか、そのようにモデレータ達は考えております。
制作システムとしての省エネ化の課題
https://a-film-production-technique-seminar.com/crafts/materials/ppi_phones_energy_saving_production_system/index.html
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■ロックダウン法制化が進んだ場合に備えて
■In case lockdown legislation progresses
2021年9月の段階では、そもそもロックダウンは可能なのか?実際に行われたとしてどのようなものなのか?いわゆるフル・ロックダウンの段階のものになるのだろうか?海外と違いロックダウン未経験となる国内スタジオ・拠点の場合、未知の段階のままロックダウン法制化が進んだ場合に関して考えて行くこととなります。ライフラインは確保されるだろうとの見通しで検討した場合、移動に対しての制限がどのような形になるかはわからないですが、配送などは確保されると考えた場合は、いわゆる自宅・居室でのテレワーク・リモートワークで考えて行くこととなるように思われます。そのように考えた場合は、現在の在宅勤務でのテレワーク・リモートワークをベースに考えて行くのが自然にはなると思われますが、仮に在宅での環境構築が難しいためサテライトスタジオ確保で運営して来ていた場合は、どうしても無理が生じる展開になる恐れがあると考えられます。つまり、フル・ロックダウンが起きた場合に備えて拠点整備をする際には、可能な限りサテライトスタジオを使うとしても、緊急時は在宅での環境が確保出来、クイックムーブを行っていける日常的な体制作りが重要になると思われます。
しかし一方、フル・ロックダウンが長期化した場合に、テレワーク・リモートワークで用いる端末の修理などで必要な資材は(配送が使えるという前提に立てば)、スタジオ内で備蓄する体制確保も重要になるのではないかと思われます。メモリ、HDD、LANケーブル、ルーターなど、スタッフ数に対して一定の割合いで備蓄していくなど、そのような工夫がいいのかもしれません。ただ、実際に部品交換などが発生する場合は、社内エンジニアが出張しての対応が難しくなるため、日常的に避難訓練と同様の感覚でスタッフそれぞれにスキルや知識を身に付けて頂く工夫などの対応も必要となるかと思われます。ICTは変化の激しいものと考えられますが、それらの知識を都度アップデート頂きつつ、フル・ロックダウンのような状況下でも円滑にスタッフ自身が一定の修理が行える程度の成熟が望ましいのかもしれません。ただ実現は大変ではないかと思われ、スタジオ内だけならともかく、パートナー先、海外ブランチなどと足並みをどこまで揃えて行えるかなど、課題は多いと思われます。スタッフのメンタルケアなど、フル・ロックダウンが長期化するほど課題は増えて行くと思われますが、そういった場合での対応パターンを事前にスタジオ内で検討し、緊急時のマニュアル作成などが有効な手立てとなるのかもしれません。納期に追われる現代のスタジオ事情の場合は、こういった対策を検討する時間や体力の確保そのものも問題となるため、課題は尽きないという印象が強くあります。
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■まとめ
■Summary
この資料では、新型コロナウイルスの猛威が続く中でこそ考えておきたいこととして、拠点分散を考えた場合の意義や課題を、思いつくままにまとめつつ書いてみました。数年すれば、技術革新などで全くこれらの考察は役に立たないものとなっているかもしれませんが、少なくとも、アフターコロナの時期に入ったとしても、当面は考えて行くことは重要ではないかと思われます。
過去会合の参加者の中には、何度か会合中で似たような視点でのディスカッションがあったと記憶されている方も居るかと思われますが、多少でも参考にして頂けたらと思います。
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